日立ハイテク、欠陥形状評価用のSEMを発売:200mm以下のシリコンウエハーが対象
日立ハイテクは、直径200mm(8インチ)以下のシリコンウエハーを対象にした欠陥形状評価SEM(走査型電子顕微鏡)「CT1000」の販売を始めた。ウエハー上のパターン形状や製造工程で発生する欠陥を3次元的に観察することができる。
試料ステージ傾斜で3次元的なSEM観察を可能に
日立ハイテクは2020年11月、直径200mm(8インチ)以下のシリコンウエハーを対象にした欠陥形状評価SEM(走査型電子顕微鏡)「CT1000」の販売を始めた。試料ステージが傾斜するため、ウエハー上のパターン形状や、製造工程で発生する欠陥を3次元的に観察することができる。構成元素を推定することも可能だ。
IoT(モノのインターネット)や車載用途向けICは、3次元構造の製品も増えている。このため、パターン形成時に生じるウエハー上の欠陥を、インラインで立体的に観察できる形状観察SEMのニーズが高まってきた。
同社は、IoTや車載デバイス向けに、高い分解能を備えたFEB(電解放出方式による電子ビーム)測長装置「CS4800」を2015年に発売した。そして今回、直径200mm以下のウエハーを用いた既存ライン向けに、欠陥検査やパターン形状観察を行うための「CT1000」を投入した。
CT1000は、自動搬送されてきたウエハーを、検査装置の試料ステージに正しくセットする。試料ステージを傾斜させることで、3次元的なSEM観察を行うことができる。欠陥を検出した場合、オプションのエネルギー分散型X線分光器を用いて、欠陥の元素分析を行うことも可能である。
CT1000は分解能が7nm@1kV、観察視野サイズは0.675〜135μmである。また、ウエハーを最大55度まで傾斜できるコニカル(円すい)型の対物レンズを搭載した。ウエハーを真上から観察する時には、試料ステージを最大傾斜角度に傾けても、観察の中心位置が大きく移動しないよう、5軸試料ステージを採用した。これによって、対象となる欠陥を見逃さずに検出できるなど、高い作業効率を実現することが可能だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東京大ら、ミリ波などを用いた磁気記録方式を実証
東京大学らによる共同研究グループは、ミリ波やテラヘルツ波を用いた新しい磁気記録方式として、「集光型ミリ波アシスト磁気記録」の原理検証に成功した。極めて高い磁気記録密度を実現することが可能となる。 - SEMICON Japanもオンライン開催、トップ対談に注力
SEMIジャパンは2020年11月25日、オンライン記者説明会を開催し、同年12月にオンラインで開催されるマイクロエレクトロニクスの国際展示会「SEMICON Japan Virtual」の概要を発表した。 - シリコンウエハー、2020年Q3は前四半期比で微減
SEMIは2020年11月2日(米国時間)、2020年第3四半期(7〜9月)における半導体用シリコンウエハーの世界出荷面積を発表。出荷実績は31億3500万平方インチで、2020年第2四半期(4〜6月)に比べ0.5%減少。前年同期比では6.9%の増加となった。 - 半導体製造装置、2020年Q2は前年同期比26%増加
2020年第2四半期(4〜6月)の世界半導体製造装置(新品)販売額は168億米ドルとなった。前期(2020年第1四半期)に比べ8%増加し、前年同期(2019年第2四半期)比では26%の増加となる。SEMIが発表した。 - EUVスキャナー、出荷は堅調だが稼働率の課題も
SEMI Japanは2020年8月25日、「第6回 SEMI Japanウェビナー」を開催した。今回のウェビナーにはASMLジャパンが登壇し、EUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の最新状況を含めた同社の近況を報告した。 - 半導体製造装置の販売額、2021年に過去最高へ
SEMIは、世界半導体製造装置の年央市場予測を発表した。2021年に半導体製造装置(新品)の世界販売額は、700億米ドルに達し、過去最高額になる見通しだ。