ミネベアミツミ、リチウムイオン電池保護ICを発売:スマホなどの急速充電性能を最大に
ミネベアミツミは、スマートフォンなどモバイル機器の急速充電性能を高めることができるリチウムイオン電池保護IC「MQC860」を開発、2021年3月から量産を始める。
電池保護ICにセル電圧モニター端子を追加
ミネベアミツミは2021年1月、スマートフォンなどモバイル機器の急速充電性能を高めることができるリチウムイオン電池保護IC「MQC860」を開発、2021年3月から量産を始めると発表した。
同社は、QualcommのQuick Chargeテクノロジーに対応した保護IC「MQC857」を供給しており、これまで多くの高機能スマートフォンに採用されてきた。MQC860はこのアップグレード製品になる。電池保護ICにセル電圧モニター端子を追加し、セル電圧をより正確に監視することが可能になった。セル電圧モニター端子のインピーダンスは最大100Ωである。NTCサーミスターによる温度保護機能も内蔵した。
主な仕様は、過充電の検出電圧範囲が4.1〜5.0V(5mVステップで精度±20mV)、過放電の検出電圧範囲は2.1〜3.0V(50mVステップで同±35mV)。また、放電過電流の検出電圧範囲は、6〜50mV(1mVステップで同±1.0mV)および、15〜100mV(1mVステップで同±2.0mV)になっている。充電過電流の検出電圧範囲は−6〜−50mV(1mVステップで同±1.0mV)。短絡検出電圧範囲は30〜200mV(10mVステップで同±5.0mV)である。
パッケージは外形寸法が1.6×1.6×0.4mmのSSON-8K/8Lで供給する。サンプル価格(税別)は50円。
同社は、MQC860のコア技術をベースに、2セル対応の次世代製品「MQC883」も開発中だという。Qualcommが2020年7月に発表した「Quick Charge 5」の技術を補完する製品となっていて、2021年第3四半期にも販売する予定である。
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