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タイヤ内面に実装した摩擦発電機でTPMSを駆動:時速50kmで発電量は800μW以上
関西大学と住友ゴム工業は、タイヤの内面に取り付けた摩擦発電機を用い、タイヤを時速50kmで回転させると800μW以上の発電量が得られることを確認した。市販のTPMS(タイヤ空気圧監視システム)を電池レスで駆動させることが可能となる。
「電池レス」でタイヤの圧力や温度をモニター
関西大学システム理工学部の谷弘詞教授と住友ゴム工業は2021年3月、タイヤの内面に取り付けた摩擦発電機を用い、タイヤを時速50kmで回転させると800μW以上の発電量が得られることを確認したと発表した。市販のTPMS(タイヤ空気圧監視システム)を電池レスで駆動させることが可能となる。
谷教授らの研究グループは、摩擦によって発生する静電気を活用した発電やセンサーの開発に取り組んできた。開発した摩擦発電機はゴムや帯電フィルム、電極などで構成され、大きな変形や衝撃を受けると発電する仕組みである。
今回は開発した摩擦発電機をタイヤの内面に取り付け、タイヤの回転で発生した電力を、電源制御回路を介しTPMSに供給した。実験では、電池を用いずにTPMSを駆動し、タイヤの圧力や温度をモニターできることを確認した。
なお、研究成果の詳細な内容については、2021年3月8〜9日に開催される日本機械学会IIP2021(情報知能精密機器部門講演会)で発表する予定。
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