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新日本無線、高速/高精度のオペアンプを開発負荷容量1000pFでも発振しない

新日本無線は、大きな負荷容量でも安定して高速ドライブできるCMOSオペアンプ「NJU77582」の量産を始めた。低ノイズで高い精度を実現している。

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入力換算雑音電圧6nV/√Hz、電圧温度ドリフト0.5μV/℃

 新日本無線は2021年3月、大きな負荷容量でも安定して高速ドライブできるCMOSオペアンプ「NJU77582」の量産を始めた。低ノイズで高い精度を実現している。

 NJU77582は、独自のアナログ回路技術をベースに開発した安定化回路「Enhanced C-Drive」を搭載することで、発振を抑えることに成功した高速オペアンプ。負荷容量が1000pFでも発振せず、安定した高速動作が可能となった。

 この負荷容量をプリント基板の配線パターン面積に換算すると314cm2の大きさに相当するという。これにより、配線パターンや部品配置に配慮した回路設計の労力が軽減でき、発振対策に用いる周辺部品も削減できるという。この結果、機器の小型化につながるとみている。


位相余裕を改善し発振耐性を強化したNJU77582(左図)、これにより、周辺部品を削減できる(右図) 出典:新日本無線

 NJU77582は、低ノイズも実現した。入力換算雑音電圧は6nV/√Hzで、20MHzのCMOSオペアンプとしては業界最高レベルだという。入力オフセット電圧温度ドリフト係数は0.5μV/℃である。これらの特性により、分解能0.025%の12ビットA-Dコンバーターに対応することができる。この分解能だと温度計の用途では±0.25℃の温度誤差を検出することが可能になる。


左図は入力換算雑音電圧の周波数特性、右図は入力オフセット電圧の温度特性 出典:新日本無線

NJU77582はノイズや温度ドリフトが小さく、12ビットA-Dコンバーターに対応 (クリックで拡大) 出典:新日本無線

 さらに、電源オフ時に信号が入力された場合でも、その入力信号をオペアンプ内部に通さない入力トレラント機能を備えている。これにより、電源オフ時は出力電圧を常にGNDレベルに保つことができ、後段に接続された機器へのダメージを回避できるという。オペアンプ自体も電源オフ時の入力電圧に耐えうる設計になっている。


入力トレラント機能により、後段に接続された機器を保護 出典:新日本無線

 動作電圧は2.7〜5.5V、消費電流は2.3mA、操作温度範囲は−55〜125℃である。パッケージはESON8品とVSP8品を量産していて、SOP8品は開発中。サンプル価格は80円。なお、NJU77582は2回路を内蔵しているが、1回路品の「NJU77580」(サンプル価格60円)は開発中。また、4回路品の「NJU77584」も今後シリーズ化していく計画である。

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