持ち運びできる蓄電池で「どこでも電源を確保」:パナソニックが発表
パナソニック ライフソリューションズ社は2021年3月24日、可搬型バッテリーの新製品「イーブロック(e-block)」を発表した。充放電器から取り外して持ち運べるので、任意の場所で手軽に電源ポイントを確保できることが特長だ。
パナソニック ライフソリューションズ社(以下、パナソニック)は2021年3月24日、可搬型バッテリーの新製品「イーブロック(e-block)」を発表した。充放電器から取り外して持ち運べるので、任意の場所で手軽に電源ポイントを確保できることが特長だ。
イーブロックの重さは約3kg。蓄電容量は304WHr。USB出力を2ポート備えていて、スマートフォンなどに直接給電できる。1台のイーブロックで、スマートフォン約25台分の充電が可能だ。
AC100Vを備えたデスク型の充放電器「イーブロックデスク」も用意した。イーブロックをセットすれば、AC出力で電源を供給できる。出力は1ポートで、AC出力は最大300VA。ノートPCであれば約5時間(PCの定格電力のみで出力し続けた場合)使用できる。
スタンド型の充放電器「イーブロックスタンド」にセットすれば、AC/USBの両方の出力が可能だ。イーブロックスタンドは高さ70cmで、AC出力を2個、USB出力を2個備えている。
「イーブロックスタンド」を使用している様子。AC電源とUSBポートの位置(高さ)も計算されていて、一般的な高さのテーブルにPCなどの端末を置いた時に、ケーブルを挿入しやすくなっている(クリックで拡大)
さらに、Bluetoothを介し、専用アプリで複数台のイーブロックを管理できる。アプリを起動すると、その端末の約10mの範囲にあるイーブロックとBluetoothで接続されて、それぞれのバッテリー残量や使用状況などを確認できる。専用アプリでは、12台までのイーブロックを表示できる。なお、同アプリでは、廃棄放電の操作も可能だ。
アプリ上で「LED点灯」ボタンを押すと、そのイーブロックでLEDが点灯する。バッテリー残量が少ないイーブロックを探す時などに便利だ。ただし、位置情報までは分からないので、アプリでLEDを点灯させたら、LEDが点灯しているイーブロックを探さなくてはならない 出典:パナソニック(クリックで拡大)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、働く環境は大きく変わった。在宅勤務の他、シェアオフィスなどサードプレースの活用や、これまでのオフィスを縮小しフリーアドレス化を図るなど、勤務環境/オフィス環境も変わっている。さらに、災害の多い日本では、ソーシャルディスタンスを確保した避難所の設置なども重要になる。こうした状況を背景に、パナソニックは「社会環境の変化に応じた新たな電源ポイントが必要になる。イーブロックはいつでもどこでも安全に電気を使ってほしいというコンセプトで開発された」と語った。
イーブロックは、イーブロックデスク/同スタンドも含め、システム全体で、電気製品の安全基準の一つである「Sマーク」認証を取得予定(現在、申請中)だ。
イーブロックは2021年5月21日に受注を開始する。販売目標は、2030年までに12万台。まずは業務用として販売するが、「将来的な用途の広がりを考慮し、それに合わせてターゲット市場を検討していく」(パナソニック)とする。「現在は重機メーカーの他、自治体などとも交渉を始めている」(同社)
パナソニックによると、特にオフィスでの需要が多いという。「オフィスのレイアウトを検討する際、実は電源というのは見落としがちなポイント。配線などの都合で電源はレイアウトの融通が利きにくい。イーブロックであれば、どこでも電源を確保できるようになる」(同社)
イーブロックにはスリープ機能が搭載されていて、長期保管が可能だ。パナソニックとしては1年に1回の充電を推奨している。1日に1回、充放電した場合の寿命は5年を想定している。
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