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耐量子−公開鍵暗号を実装したICカード開発へ:凸版印刷とISARAが連携
凸版印刷とISARAは、「耐量子−公開鍵暗号」を実装したICカードの開発で連携していく。認証システムの技術検証などを経て、2025年に限定的な実用化を、2030年にサービス化を目指している。
2030年のサービス開始を目指す
凸版印刷とISARAは2021年4月、「耐量子−公開鍵暗号」を実装したICカードの開発で連携していくと発表した。認証システムの技術検証などを経て、2025年に限定的な実用化を、2030年にサービス化を目指している。
ICカードは、実装されたRSAなどの公開暗号鍵を用いて、安全なアクセス認証などを行っている。ところが、量子コンピューティング時代になれば、現在の公開暗号鍵だと破られる可能性が出てきたという。
そこで凸版印刷とISARAは、量子コンピューティング技術を用いても破られない、耐量子−公開鍵暗号を実装したICカードの開発を行うことにした。共同で行う研究テーマは「耐量子−公開鍵暗号のプログラム開発」と、「耐量子−公開鍵暗号を実装したICカードを介したアクセス認証・管理の技術検証」である。
具体的には、耐量子−公開鍵暗号における電子署名の生成と認証アルゴリズムの実現に向けて、ICカード用プログラムの開発と、ICカードへの実装および、機能検証を行う。また、耐量子−公開鍵暗号を実装したICカードを用いて、アクセス認証と管理の技術検証を行う。さらに、量子セキュアクラウド技術への適応性についても検証することにしている。技術検証については、情報通信研究機構(NICT)とも連携して行う予定である。
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