日本電産、セルビアに車載用モーターなどの新工場:産学連携による技術交流も展開
日本電産は、セルビア共和国のノヴィ・サド市に新工場を建設する。欧州における中核拠点と位置付け、車載用モーターや関連製品などの製造を行う。ノヴィ・サド大学との戦略提携にも合意した。
グループ生産活動の集約拠点として複数事業が進出予定
日本電産は2021年4月、セルビア共和国のノヴィ・サド市に進出し、新工場を建設すると発表した。欧州における中核拠点と位置付け、車載用モーターや関連製品などを製造する。ノヴィ・サド大学との戦略提携にも合意した。
欧州市場では、主要諸国における乗用車のCO2排出量規制強化などを受け、電動車への移行などが本格化する。こうした中で、車載用モーターとその関連製品、家電向け高効率ブラシレスDCモーターなどの需要が拡大しているという。
そこで日本電産は、東欧地区におけるグループ生産活動の集約拠点として、セルビアに新工場を設けることにした。事業を集約することで生産インフラや管理機能を共有化できるメリットがあり、新拠点には車載事業本部やグループ会社の複数事業が進出する予定である。有能な理工系技術者の現地採用なども行い、新拠点での設計力強化や製品開発も視野に入れている。
セルビアに新工場を建設するのは、日本電産のセルビア法人「Nidec Electric Motor Serbia LLC(ニデックエレクトリックモータ・セルビア有限会社)」と、日本電産エレシスのセルビア法人「Nidec Elesys Europe LLC(ニデックエレシスヨーロッパ有限会社)」である。いずれも2021年1月に現地法人として設立した。
ニデックエレクトリックモータ・セルビアは、車載用モーターおよび関連製品の製造と販売を、ニデックエレシスヨーロッパは、車載向けインバーターおよびECUの製造と販売を、それぞれ行う。いずれの新工場も2021年9月に着工し、2022年中旬に竣工の予定である。なお、ノヴィ・サド大学との戦略提携に基づき、産学連携を通じた技術交流にも積極的に取り組む考えである。
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