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日本触媒、有機EL用電子注入材料をNHKと共同開発省電力、長寿命、低コスト化へ

日本触媒は、有機EL用の新たな電子注入材料をNHKと共同で開発した。この材料を用いると陰極から直接、発光層へ電子注入を行うことができるため、有機ELの構造を簡素化できるという。

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陰極から直接、発光層への電子注入を可能に

 日本触媒は2021年5月、有機EL用の新たな電子注入材料をNHKと共同で開発したと発表した。この材料を用いると陰極から直接、発光層へ電子注入を行うことができるため、有機ELの構造を簡素化できるという。

 有機ELはこれまで、電極金属から有機材料へ電子をスムーズに供給するために、アルカリ金属化合物を用いていた。これが、有機材料と反応し、有機EL素子が劣化する要因の1つになっていたという。

 そこで日本触媒とNHKは、電極金属と有機材料との間に大きな分極を生じさせることで、アルカリ金属化合物を用いなくても効率的に電子を注入できる「分極型電子注入技術」を開発してきた。

 今回は、分極型電子注入技術の開発で得られた知見を活用し、より効率的に電子注入を行うことができる電子注入材料を新たに開発した。新材料は、フッ化リチウムやリチウム−キノリノール錯体のようなアルカリ金属からなる一般的な電子注入材料と同等かそれ以上の特性を実現しているという。

左は一般的な有機ELの構成、右は開発した有機ELの構成例 (クリックで拡大) 出典:日本触媒

 これまで困難であった陰極から発光層への直接電子注入も容易に行える。このため従来のような電子輸送材料が不要になり、材料削減や製造プロセス短縮によるコスト節減を可能にした。

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