クラウド大手、IoT市場でもリード:AWSやMicrosoft
IoT(モノのインターネット)の導入に関する調査によると、クラウドコンピューティング市場を席巻しているのと同じ大手企業が主導していることが明らかになった。ただし、この調査結果は特に驚くようなことではない。
IoT(モノのインターネット)の導入に関する調査によると、クラウドコンピューティング市場を席巻しているのと同じ大手企業が主導していることが明らかになった。ただし、この調査結果は特に驚くようなことではない。
テクノロジー市場のアドバイザーであるABI Researchが実施したIoT導入の競争評価によると、Microsoft AzureとAmazon Web Service(AWS)は、エッジデバイスをクラウドインフラストラクチャに接続する方法においてリードしているという。ABI Researchは、ライフサイクル管理やIoTオンボーディングなどの主要な技術基準について調査した。
オンボーディングとは、デバイスにセキュリティデータや構成データをインストールして、デバイスがIoTプラットフォームと安全に接続してやりとりできるようにするプロセスを指す。この評価では、信頼性のあるデバイスの識別のほか、セキュリティの更新や、モバイル機器のファームウェアを無線通信で更新する「FOTA(Firmware update Over The Air)」技術のランキングも行っている。
クラウドベースのIoTの導入においては、そのほとんどにAWSとMicrosoft Azureが使われている。一方、Intelなど他のプレーヤーは、IoT「デバイスID」のサプライチェーンの確保に注力している。デバイスセキュリティ企業には、Intelの他にDevice AuthorityやPelionなどがある。
IoTエコシステムには、ハードウェアモジュールメーカーも関係している。ABI Researchによると、代表的なメーカーには、ロンドンを拠点とするIoTおよびマシンツーマシン通信のスペシャリストであるTelitやパリを拠点とするThalesがある。
ABI Researchの評価では、新興のIoTエコシステムを統合するための協業の重要性が指摘されている。
ABI ResearchでIoTおよびデジタルセキュリティ担当シニアアナリストを務めるDimitrios Pavlakis氏は、「勝利を確かなものにするには、クラウドデバイス管理だけでは不十分だ。市場へのリーチを拡大し、他社との競争に負けないためには、これまでと同様にパートナーシップが重要である」と述べている。
同氏は、「持続可能なライフサイクル管理環境には、インテリジェントなソリューションと自動化が必要だ。(開発)ツールやリソースのモジュール化などの基準でさえも、特定のソリューションの人気を大きく高め、IoTによる将来的な収益の流れを形作ることができる」と付け加えている。
ハードウェアやセキュリティ(暗号化など)に加えて、規模も重要となる。そのため、クラウドリーダーであるAWSとMicrosoft は、市場アナリストが重要と考える戦略的パートナーシップを構築しながら、IoT導入の未来を形作っている。
このようにして好機を獲得することで、クラウド市場のリーダー企業はパブリッククラウド分野の支配を強めている。クラウド市場の調査会社である米国のSynergy Research Groupによると、AWSとMicrosoftを合わせると、世界のクラウド収益の半分以上を占めているという。
Synergy Researchは、2021年第1四半期のクラウドインフラサービスの収益に関する報告書の中で、「Microsoftは徐々にAmazonに迫っており、市場シェアの差は過去1年で2ポイント縮まった」と指摘している。
Synergy Researchでチーフアナリストを務めるJohn Dinsdale氏は、AWSとMicrosoftは「毎四半期、何十億米ドルも投資してデータセンターの面積を広げようとしている。併せて、クラウドサービスのポートフォリオも拡充している」と述べた。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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