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自動車業界と半導体業界はIC需要予測でもっと連携をサプライチェーンを可視化させる(2/2 ページ)

エレクトロニクスサプライチェーンは、さまざまな弱点を抱えているため、調達のエキスパートでさえ、その複雑な問題に悩まされることが多い。自動車業界は2021年初頭から、車載用マイコンをはじめさまざまな半導体チップが不足するという、半導体ライフサイクルの非常事態に直面している。

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可視化の限界

 可視性の限界は、エレクトロニクスサプライチェーン全体に共通する不満点だ。自動車業界は、自動車メーカーから部品をますます遠ざけてしまうような構造になっている。Weiss氏は、「自動車のティア1サプライヤーはこれまで、自動車メーカーの半導体需要をけん引し、管理してきた。このため、自動車市場におけるティア1サプライヤーの役割が拡大し、エレクトロニクスサプライチェーンは複雑化の一途をたどっている。ティア2やティア3のサプライヤーは、半導体製造において重要な役割を担っているが、自動車メーカーやティア1との間でもっと頻繁かつ直接的にコミュニケーションをとる必要がある」と述べる。

 複数階層のサプライヤー間でデータを共有すれば、“好ましくない不意打ち”を回避することができる。例えば、2020年10月に発生した台湾Unimicronの基板工場の火災は、現在も世界半導体製造に影響を及ぼし続けている。多くの半導体メーカーにとって、Unimicronが唯一の供給源であるため、代替基板を入手することができないのだ。たとえ代替製品が存在したとしても、実績あるメーカーのリストに新たなサプライヤーを加えるとなると、数カ月間をかけて入念に検討する必要がある。ほとんどの自動車メーカーが、ティア1以降の階層の可視性を確保できていない状況にある。

 SEMI-CAR協定のメリットは明白だ。CARのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるCarla Bailo氏は、「SEMIは自動車業界に対する見通しを持ちたいし、CARは半導体業界に関する情報を入手したい。協業には絶好のタイミングだ」と述べている。

 エレクトロニクスは自動車業界にとって目新しいものではないが、車載デバイスの量と高度化は急上昇している。インドの市場調査会社であるMordor Intelligenceによると、世界車載半導体市場の規模は、2020年は481億3000万米ドルだったが、2026年には1291億7000万米ドルに達すると予想されている。ただし、市場規模が拡大しても、半導体の生産に最低18週間を要するという事実は変わらない。サプライチェーンが常に在庫を抑えていることもあり、需要が突然急増した場合には対応する術がない。

 Bailo氏は、「ある試算によれば、半導体は世界のさまざまな地域で加工される間に約4万kmも移動するという」と指摘している。

 米国のコンサルティング会社であるAlixPartnersは、「2021年の自動車業界の世界売上高は、半導体不足によって1100億米ドル減少する」と予想している。公平を期すために、2020年の全ての事業予測にはCOVID-19の免責条項が適用されており、自動車も例外ではない。

 Bailo氏は、「パンデミックが起こったとき、自動車メーカーは予測を下方修正した。いつ回復するかは誰にも分からなかった。一方、IT関連機器の消費者需要は急増したため、半導体の供給はこれらの製品にシフトした」と述べている。

 同氏は、「他の分野で需要があるときに、供給を切り替えるのは簡単なことではない」とも述べている。

 生産能力の拡張も簡単ではない。半導体工場の建設には数年の時間と数十億米ドルのコストがかかる。TSMCのようなファウンドリーは、顧客企業と長期的な関係を築いており、事前に生産予約を受けている。つまり、半導体不足をすぐに解決する術はないのだ。


画像はイメージです

 SEMIのWeiss氏は、「マイコンを入手できないために自動車工場が生産を停止しなければならないという事態は憂慮すべきである」と述べている。

 SEMIは、「自動車メーカーとサプライヤー、半導体メーカーがより緊密に連携することで、需要と供給の動向に対する見通しを持つことができる。それによって、サプライチェーンのより太い結び付きを実現し、将来的な半導体不足や供給過剰による影響やリスクを最小限に抑えることを目指している」と述べている。

 両業界は、この協定をチャンスと捉えている。「この覚書は、現在の半導体不足のようなグローバルな課題の対応するために双方の利害関係を結集した共同アプローチで、両業界に利益をもたらす機会を生み出すものである」(Weiss氏)

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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