6000DMIPSの性能でリアルタイム制御に強いマイコン:「MCUとMPUのギャップを埋める」
Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2021年7月12日、FA(ファクトリーオートメーション)やロボット、車載システムなどの用途に向けて、新しいマイコン(MCU)シリーズ「Sitara AM2x」を発表した。
Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2021年7月12日、FA(ファクトリーオートメーション)やロボット、車載システムなどの用途に向けて、新しいマイコン(MCU)シリーズ「Sitara AM2x」を発表した。
TIは、Sitara AM2xを「既存のマイコンとプロセッサの間に広がっているギャップを埋める製品」と位置付ける。TIのSitaraマイコン ビジネス部門でゼネラルマネジャーを務めるMike Pienovi氏は、「マイコンの設計のシンプルさとプロセッサレベルのコンピューティングを高度に統合した」と述べる。「Sitara AM2xは、マイコンユーザーに対しては、より高い性能とスケーラビリティを、プロセッサユーザーに対しては、システムコストの低減とよりよい使い勝手を提供する」(同氏)
Sitara AM2xの最初のファミリーとなる「Sitara AM243x」は、動作周波数が最大800MHzのArm「Cortex-R5F」コアを最大4個搭載し、6000DMIPS以上の演算能力を実現する。TIのSitaraマイコン ビジネス部門でビジネスマネジャーを務めるSonia Ghelani氏は「従来のフラッシュベースのマイコンの処理性能は数百DMIPSだ。それらの既存品と比較して、Sitara AM2xは10倍の処理能力を実現する」と説明する。さらに、一般的なアプリケーションであれば、この性能を1W未満の消費電力で実現できるという。
モーター制御や産業用ネットワークのプロトコルの処理を高速、高精度に行えるよう、プログラマブルなハードウェアアクセラレーターも統合した。TSN(Time-Sensitive Networking)やEtherCAT、PROFINETといったイーサネットベースのプロトコルをハードウェアアクセラレーターを使うことで高効率かつ低遅延で処理できて、メインのArmコアの負荷をオフロードすることができる。
「Sitara AM243x」のブロック図。緑のブロックのうち「Industrial Ethernet」と「Motor control Industrial Ethernet」が、プログラマブルなハードウェアアクセラレーターである 出典:日本TI(クリックで拡大)
その他、セキュリティ関連の処理を行うアクセラレーター(上図の「Security acceleration」)や、アプリケーション全体の機能安全をモニタリング/診断するFFI(Freedom From Interference)機能(上図の「MCU with FFI」)も統合されている。こうしたセキュリティ機能や機能安全のメカニズムに加え、関連資料も用意しているので、システムインテグレーターは、産業用設計においてIEC 61508規格のSIL 3を目標にすることができるという。
Sitara AM243xは、シングルコアの「Sitara AM2431」、デュアルコアの「Sitara AM2432」、クアッドコアの「Sitara AM2434」があり、それぞれ複数のオプション(サブファミリー)を用意している。パッケージサイズは17×17mmまたは11×11mmで、1000個購入時の参考単価は6.05米ドルから。評価ツールとして「Sitara AM243x LaunchPad 開発キット」も89米ドルで提供している。
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