TI、PSpiceベースの独自回路シミュレーターを開発:無償で提供、設計の検証を容易に
Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2020年9月16日、新たな回路シミュレーションツール「PSpice for TI」を発表した。Cadence Design Systemの回路シミュレーター「PSpice」カスタムバージョンで、同社製品を使った回路の評価、検証を容易にする。既に同社のWebサイト上で公開中で、ユーザーは無料でダウンロード可能となっている。
Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2020年9月16日、新たな回路シミュレーションツール「PSpice for TI」を発表した。Cadence Design Systemの回路シミュレーター「PSpice」カスタムバージョンで、同社製品を使った回路の評価、検証を容易にする。既に同社のWebサイト上で公開中で、ユーザーは無料でダウンロード可能となっている。
TIの5700種類以上のモデルを内蔵、自動更新
日本TIによれば、新しい設計コンセプトのテスト、製品開発の事前検証や規格対応ニーズおよび高度なシミュレーションのニーズ拡大や、エンジニアに与えられるプロジェクト期間の短期化といった現状から、回路シミュレーションツールの需要が高まっているという。同社は、顧客からのこうしたニーズに応えるため、今回、「PSpice for TI」の提供を始めたとしている。
PSpice for TIは、半導体メーカーによるCadenceのPSpice初のカスタムバージョンで、TIの5700種類以上のアナログICモデルを内蔵するほか、PSpiceのABM(Analog Behavioral Models)、拡張されたプリミティブ群、設定可能な電力用電界効果トランジスタや電力用ダイオードを含む電源設計者向けの新機能などを備えており、全ての回路をサイズの制限なしに設計可能となっている。
また、自動計測とポストプロセシングのほか、モンテカルロ解析やワーストケース解析を含む高度な解析機能も搭載しており、「幅広い動作条件とデバイスの許容範囲にわたって、ほんの数クリックで設計をフルに検証できる」という。PSpice for TIでシミュレーションした設計を検証した後には、商用バージョンのPSpice Designer内で設計を開き、OrCAD/Allegro PCB Designerなどその他のプリント基板ツール群にデータを直接渡すことも可能で、この場合、回路を再構築する必要がなくなる。
なお、TIの新製品が出ればPSpise for TI内のライブラリも自動でアップデートされる仕組みで、顧客は手作業で新製品のモデルを組み込む必要はない。また、TI以外の半導体メーカーの製品モデルについても別途インポートすることで、シミュレーション可能となる。さらに、PSpice for TI内からTIのデータシート群、製品情報、リファレンスデザインのテスト回路や「TI E2E技術サポートフォーラム」の個々の検索結果にもアクセス可能だ。
CadenceのPSpiceとの違いとしては、PSpice for TIはまず無償ツールであるほか、TIのほぼ全てのアナログ電源、シグナルチェーン製品のモデルを備え自動で更新する仕組みである一方で、CadenceのPSpiceはさらに豊富はモデルが用意されている点(複数ICメーカーの3万4000種類を超えるモデルにアクセス可能)などが挙げられるという。
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