HDD大手SeagateとWDの2021会計年度業績、営業利益が拡大:福田昭のストレージ通信(203)(2/2 ページ)
米Seagate Technologyと米Western Digitalの、2021会計年度(2021年6月期)の業績を紹介する。
WDの営業利益は前年の3.64倍に拡大、2年連続で3倍超となる
ここからはWD(Western Digital)の年度業績を説明しよう。WDの売上高は前年比1.1%増の169億2200万米ドルである。営業利益(GAAPベース)は前年の3.64倍である12億2000万米ドルと急激に増加した。前年の営業利益も3.85倍に増えており、2年連続で3倍超と急激に収支が健全化していることがうかがえる。粗利益率(GAAPベース)は26.7%で、前年の22.6%から4.1ポイント上昇した。売上高営業利益率は7.2%で前年の2.0%からは大幅に増えたものの、2桁には達していない。
WDのストレージ事業は主に、NANDフラッシュメモリ応用品(フラッシュ応用品)とHDD製品で構成されている。売上高の比率は粗く表現すると半々である。もちろん変動はあり、四半期ベースで見るとフラッシュ応用品の変化が大きい。
過去4年を四半期ベースで見ると、フラッシュ応用品の売り上げが最低だったときは15億600万米ドル(2019年6月四半期)、最高だったときは26億4200万米ドル(2017年12月四半期)で、1.75倍の開きがある。HDD製品の売り上げが最低だったときは20億4900万米ドル(2020年6月四半期)、最高だったときは27億5400万米ドル(2018年6月四半期)で、両者の開きは1.34倍と少ない。直近の3四半期は、いずれも売上高は上昇傾向にある。
2021会計年度(2021年6月期)の売上高に話題を戻そう。フラッシュ応用品の売上高は前年比12.1%増の87億600万米ドル、HDD製品の売上高は同8.4%減の82億1600万米ドルである。
用途別では、「クライアント用デバイス」部門(ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマーエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品など)が前年比15%増の82億5500万米ドル、「データセンター用デバイス・ソリューション」部門(エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなど)が同21%減の49億5000万米ドル、「クライアント用ソリューション」部門(映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなど)が同11%増の37億1700万米ドルだった。
(次回に続く)
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