60GHzレーダーを搭載した10×13mmの小型モジュール:日本の技適を取得済み
インフィニオン テクノロジーズ(以下、インフィニオン)と新日本無線は2021年9月22日、オンライン記者説明会を開催し、60GHzレーダーを搭載したセンサーモジュール「NJR4652シリーズ」を発表した。
インフィニオン テクノロジーズ(以下、インフィニオン)と新日本無線は2021年9月22日、オンライン記者説明会を開催し、60GHzレーダーを搭載したセンサーモジュール「NJR4652シリーズ」を発表した。
両社が初めてパートナーシップを締結して開発した製品で、インフィニオンの60GHzトランシーバーIC「BGT60TR13C」と、信号処理用のArm「Cortex-M4F」ベースのマイコン「PSoC 6」を、新日本無線がその他の周辺部品とともに1パッケージ化したもの。サイズは10.0×13.4×1.2mmで、新日本無線は「当社がこれまで培ってきたICパッケージ技術を生かした製品で、世界最小クラスのセンサーモジュール」と語る。「特に1.2mmと薄型なので、さまざまな製品に搭載可能な上に、チップマウントにも対応しているので、組み立ても容易になる」(同社)。日本の技適を製品単体で取得していて、ユーザーが追加で電波認証を取得する必要はない。
NJR4652シリーズの送信周波数は最大58.0〜63.5GHzで、送信電力は標準値で1.8mW。最大検知距離は10m(歩行者)。60GHz帯を使用することで、距離分解能(理論値)は37.5mm(使用帯域幅4GHz)と、24GHz帯の従来品(同0.2GHz)と比較して約20倍になる。複数のアンテナを搭載しているので、対象物までの距離だけでなく角度も計測できる。
さらに、インフィニオンが開発した存在検知(Presence Detection)と人流検知(Entrance Counter)のターンキーソフトウェアを使うことで、開発工程も短縮できる。ターンキーソフトウェアについては、上記2つ以外にも、屋内の人の検知やジェスチャー検知、水位計、人やペットのバイタル情報検出などを新日本無線が開発中だ。新日本無線は将来的に、顧客の要望に合わせたカスタムソフトウェアも開発する予定だ。
NJR4652シリーズのサンプル提供開始は2021年10月、量産開始は2022年3月を予定している。新日本無線によれば、量産規模は2022年は数万台で、将来的には数百万台を目指すとする。USBケーブルでPCに接続して試験を行う評価キットも入手可能だ。なお、評価キットを含め、NJR4652シリーズの販売は全て新日本無線*)が行う。
*)新日本無線は、同じ日清紡ホールディングス マイクロデバイス事業の連結子会社であるリコー電子デバイスと合併し、2022年1月1日から「日清紡マイクロデバイス」となる。
幅広い用途での活用が期待される60GHzレーダー
24GHz帯を利用する従来のレーダーに比べ、広い帯域幅を使える60GHzレーダーは、非常に高い距離分解能を実現できることから、自動車をはじめ、PCやTVの人検知、入退室管理などさまざまな用途への応用が期待されている。日本では2020年1月に電波法が改正されて、60GHz帯の利用が可能になった。
人の検知にはカメラを使うことが多いが、インフィニオンは「トイレや浴室など、カメラを使用できない場所でも、プライバシーを保護しつつ検知できる点などが、60GHzレーダーのような電波センサーの利点だ」と説明した。その他、光学式センサーや熱式センサーに比べ、気温や太陽光、霧や煙などによる失報や誤動作がないなど環境性能が高いこともメリットとして挙げられる。
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