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「電池でエッジAI」を手軽に実現、ADIオンチップメモリで省電力に(2/2 ページ)

Analog Devices(Maxim Integrated Products)は近年、エッジAI(人工知能)にも力を入れている。それを象徴するのが2021年7月に発表した、エッジAI向けの小型カメラキューブのレファレンスデザイン「MAXREFDES178#」だ。顔認識やキーワード認識などを、コイン電池で実行できるほど低消費電力なのが特長である。

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エッジAIの用途は大きく広がる

 Ardis氏は、MAXREFDES178#によってエッジAIの用途は大きく広がると期待する。「既に数百社の顧客とさまざまなユースケースについて話をしている。例えば倉庫で製品をピックアップするロボットに活用すれば、箱を持ち上げたときに、品物や製品が割れていれば、“カラカラ”といった音を聴覚用推論で確認できる。つまり、出荷前の破損や故障を検知する手段に使える」(同氏)

 エッジAIは、今やNVIDIAやIntelなどの大手メーカーからスタートアップまで、多くの企業が携わる分野となっている。Ardis氏は、「NVIDIAやIntelなどは、パワフルなプロセッサを提供している。自動運転なども実現できるが、その分エネルギー消費は大きい。一方でスタートアップは、より低消費電力のマイコンを使った、視覚用、聴覚用のエッジAIを展開する企業もいくつかある」と述べる。「ただ、消費電力ではMAX78000は高い優位性を持っている。スイス・チューリッヒ工科大学が、ソーラーパワーで顔認識の推論を行ったときのエネルギー消費を比較した結果を公開している。それを見ると、MAX78000が圧倒的に低いことが分かる」(同氏)


スイス・チューリッヒ工科大学による2020年5月の比較結果。MAX78000は、1回の推論当たりのエネルギーが0.09mJで、他のプラットフォームに比べて大幅に低い[クリックで拡大] 出所:スイス・チューリッヒ大学「tinyML EMEA Technical Forum 2021」

 Ardis氏は、「MAXREFDES178#でデモを作成すれば、エッジAIがいかに小型かつ低消費電力で、しかも容易に実現できることが示せるだろう」と強調する。エッジAIは、どの企業も手軽に試し、採用できるソリューションが、既にそろっているのだ。


MAXREFDES178#には、顔認識とキーワード認識のデモの他、ボードやケーブルも含め、すぐにエッジAIを開発できる部品がそろっている[クリックで拡大] 出所:Analog Devices(Maxim Integrated Products)
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