最大1Wの給電が可能なワイヤレス給電チップセット:NFCでの非接触通信も可能に
ロームグループのラピステクノロジーは、最大1Wのワイヤレス給電と非接触通信を可能にする小型のチップセット「ML766x」を開発した。スマートウォッチやリストバンド型血圧計などウェアラブル機器の用途に向ける。
ウェアラブル機器に搭載可能な230mm2サイズを実現
ロームグループのラピステクノロジーは2021年10月、最大1Wのワイヤレス給電と非接触通信を可能にする小型のチップセット「ML766x」を開発した。スマートウォッチやリストバンド型血圧計などウェアラブル機器の用途に向ける。
新製品は、送信用LSI「ML7661」と受信用LSI「ML7660」を組み合わせたチップセット。システムに応じて最適な送受信が行える制御回路を内蔵、LSI本体の発熱を抑えることで、最大1Wのワイヤレス給電を可能にした。最大給電量は数百キロヘルツの周波数帯を用いる一般品の0.5Wに対し、2倍になる。
新製品は給電に13.56MHzの周波数帯を用いるため、アンテナを小型化できるという。システムサイズ(アンテナ+IC+周辺部品)も230mm2と小さくすることができ、一般品に比べて面積を30%削減することが可能となった。ちなみに、ワイヤレス給電として普及しているQi規格は、最大給電量が15Wと大きいが、システムサイズ(650mm2程度)も大きく、ウェアラブル機器への搭載は難しかったという。
送電/受電LSIは、I2CインタフェースとSPIインタフェースに対応する通信プロトコルを内蔵し、外付けマイコンがなくてもデジタルセンサーなどを制御することができる。
ワイヤレス給電と同じ周波数帯(13.56MHz)を用いた近距離無線通信規格「NFC」による非接触通信も可能である。産業機器やPCの冷却用ファンなど、有線通信に制限のある回転系機器などの用途にも適している。独自の通信フォーマットを採用したことで、ML766xはデータの通信間隔を1ミリ秒に短縮できたという。このため、よりリアルタイムでの制御や監視が可能になった。
新製品は既にサンプル出荷を始めている。サンプル価格(税別)は500円。チップセットの評価キットも用意している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ラピス、Bluetooth 5対応無線通信モジュール発売
ラピスセミコンダクタは、Bluetooth 5規格に対応したBluetooth low energy(BLE)無線通信モジュールとして「MK71511」と「MK71521」の2製品を発売した。評価キットも用意している。 - 昭和電工、ロームとSiCエピウエハーの長期供給契約
昭和電工は2021年9月13日、ロームとパワー半導体向けSiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウエハーに関する複数年にわたる長期供給契約を締結したと発表した。 - ローム、中国の吉利汽車と戦略的協力関係を締結
ロームは、SiCパワーデバイスを中心とした自動車向けの先進的な技術開発で、中国の自動車メーカーである吉利汽車(以下、Geely)と、戦略的パートナーシップを結んだ。 - ローム、SiC SBDを内蔵した耐圧650VのIGBTを開発
ロームは、SiCショットキーバリアダイオード(SBD)を内蔵した耐圧650VのIGBT(Hybrid IGBT)「RGWxx65Cシリーズ」を開発した。車載信頼性規格「AEC-Q101」に準拠しており、xEV(電動化車両)や太陽光発電などの用途に向ける。 - ローム、面実装のAC-DCコンバーターICを開発
ロームは、耐圧1700VのSiC MOSFETを内蔵したAC-DCコンバーターIC「BM2SC12xFP2-LBZ」を開発し、サンプル出荷を始めた。面実装が可能な小型パッケージ(TO263-7L)で供給する。 - 日本ガイシとローム協業、半固体電池+電源を提案へ
日本ガイシとロームは2021年1月20日、電池交換不要のメンテナンスフリー機器実現に向けて協業すると発表した。