TIのGaN技術とMCUを搭載したデータセンター向けサーバ電源:データセンターの消費電力とCO2排出量を削減(2/2 ページ)
Texas Instruments(TI)は、同社のGaN(窒化ガリウム)技術と「C2000」リアルタイムマイクロコントローラーをDelta Electronicsのパワーエレクトロニクス技術と組み合わせて、データセンター向けのエンタープライズサーバ電源ユニット(PSU)を開発したと発表した。
WBG材料
GaNは、普及が進むWBG材料の1つで、シリコンの3倍の電子バンドギャップを有するとされる。同技術は、デバイスを大幅に小型化しながら、高電界に対する耐性を高めることができる。トランジスタを小型化し、電流経路を短くすることで、抵抗と静電容量を非常に小さく抑えるとともに、最大100倍のスイッチング速度を実現できる。
また、抵抗と静電容量が小さければ、電力変換効率が向上し、データセンターのワークロードにより多くの電力を供給することもできる。つまり、熱の発生によってデータセンターの冷却要件が増えることがないため、データセンターの1W当たりのオペレーションを増やすことができる。さらに、高速周波数スイッチングによって、各スイッチングサイクルで蓄積するエネルギー量が大きく減るため、エネルギーを蓄える受動部品のサイズと重さが低減する。
GaNとMCU
Delta Electronicsは、「GaNのようなエネルギー効率の高い材料を使用して、CO2の排出量を最小限に抑えることを目標としている。サーバの電源供給では、98%の効率と100W/in3の電力密度を目指している。そのためには、いくつかのハードルを乗り越えなければならないが、GaNは電力設計とアーキテクチャを大きく変える可能性を秘めている」と述べている。
Tom氏は、「GaNはさまざまなトポロジーをサポートできる。ほとんどのサーバおよび通信用AC-DC PSUは、ACライン電圧を力率補正(PFC:Power Factor Correction)した後、高電圧のDC-DCコンバーターで整流する2段階アプローチを採用している。GaNは、『トーテムポールPFC』のような新しいトポロジーをサポートできる。トーテムポールPFCとは、GaNの優れたスイッチング性能を利用してより高いスイッチング周波数を実現することで、効率と電力密度の両方を向上させる技術である」と説明した。
高電圧のDC-DCに関して、TIは、「GaNベースのコンバーターのリファレンスデザインは、効率と電力密度を向上させることができる」と主張している。
TIのGaN-FETは、高速スイッチングドライバーと内蔵の保護機能、温度監視機能を備えている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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