「ROHM Solution Simulator」に熱解析機能を追加:オンラインで電気と熱を連成解析
ロームは、パワー半導体と駆動用ICなどを一括して動作検証できる無償のWebシミュレーションツール「ROHM Solution Simulator」に、熱解析機能を追加し、同社公式Webサイト上で公開した。
24時間要していた熱解析シミュレーションを10分以内に短縮
ロームは2021年11月、パワー半導体と駆動用ICなどを一括して動作検証できる無償のWebシミュレーションツール「ROHM Solution Simulator」に、熱解析機能を追加し、同社公式Webサイト上で公開した。
2020年にリリースされた「ROHM Solution Simulator」は、同社公式Webサイト上で動作する電子回路シミュレーションツール。ロームが提供するSiC(炭化ケイ素)デバイスなどのパワー半導体や駆動用IC、電源ICおよび、シャント抵抗器などの受動部品を、実環境に近いソリューション回路で、動作検証することができる。
しかも、シーメンスEDA製シミュレーションプラットフォーム「PartQuest」を採用して開発されているため、PartQuestユーザーは、「ROHM Solution Simulator」で実行したシミュレーションデータを、自身のPartQuest環境に組み込んで検証することも可能である。
新たに追加した熱解析機能は、IGBTとシャント抵抗器を搭載したPTC Heater(内燃機関を持たない電気自動車専用ヒーター)や、DC-DCコンバーターIC、LEDドライバーICなど、発熱が課題となるソリューション回路に実装。実基板から算出した放熱に関するパラメーターを熱流体解析ツールで3Dモデル化し、電気回路シミュレーターで熱解析できるよう1Dモデルに低次元化して、電気と熱を連成解析することで実現した。
このため、アプリケーション動作時に変化する半導体チップ温度(ジャンクション温度)はもちろん、端子温度や基板上にある部品の熱干渉に対し、これまで24時間要していた熱解析シミュレーションを、10分以内で行うことが可能になるという。
ROHM Solution Simulatorは、同社公式Webサイト上のROHM Solution Simulatorページでユーザー登録すれば利用できる。ツールを使用するためのドキュメントや動画も公開している。
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