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着実に実用化に近づくO-RANの最新状況、MWC 202240件超のデモが公開

世界最大規模のモバイル展示会「MWC(Mobile World Congress)2022」が、スペイン・バルセロナで2022年2月28日〜3月3日に開催された。今回は、「O-RAN」(Open Radio Access Network)関連のデモが四十数件披露され、その約半数がオンラインのライブで実施された。これらのデモは、O-RAN装置が現在、コンセプト段階から実装/導入段階へと着実に移行しているという点を強く示唆するものだった。

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 世界最大規模のモバイル展示会「MWC(Mobile World Congress)2022」が、スペイン・バルセロナで2022年2月28日〜3月3日に開催された。今回は、「O-RAN」(Open Radio Access Network)関連のデモが四十数件披露され、その約半数がオンラインのライブで実施された。これらのデモは、O-RAN装置が現在、コンセプト段階から実装/導入段階へと着実に移行しているという点を強く示唆するものだった。

O-RAN Allianceの取り組みの最新情報

 2021年のMWCは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による制約を受けて延期されたが、MWC 2022は現地開催となった。新型スマートフォンやその他の個人向け無線機器などが展示される中で、埋もれるようにしていたのが、最新型インフラだ。その進化により、無線通信事業者は今後、確実に5G(第5世代移動通信)を提供できるようになるだろう。

 RANは、RF信号を伝送する非常に重要なネットワークコンポーネントである。通信データセンターを介し、オーディオ/ビデオ/データストリームを目的地まで送信することが可能だ。

 これらのデータストリームは、多種多様なアプリケーションをサポートするため、例えば、オーディオ/ビデオ通話はもちろんのこと、クラウドゲームやテレビ会議、最近登場し始めたメタバースなどにも対応可能だ。5Gの周波数帯やアクセスプロトコルの多様性を定義する無線規格は、RAN設計を複雑化させる。このため無線業界は、オープン規格を策定することで、実装の難しさを軽減し、性能向上とRAN実装コスト低減の実現をサポートする方向へと進んできたのだ。

 RAN関連の世界作業標準規格を定義する業界団体O-RAN Allianceは、2018年に、AT&TやChina Mobile、Deutsche Telekom、NTTドコモ、Orangeなどの国際的な通信事業者グループによって設立された。MWC 2022では、その取り組みの進捗状況が公開された。

 O-RAN Allianceは創立4周年を迎え、参加メンバーが300社を超えるまでに成長した。その中には、Dish NetworkやKDDI、楽天モバイル、Telefonica、Verizon、Vodafoneなどの広く知られた通信事業者が名を連ねる。また、モバイル通信事業者だけでなく、ハードウェア/ソフトウェアメーカーであるIntelやNVIDIA、Qualcomm、Xilinxなどの他、研究機関や学術機関も参加している。

 O-RAN Allianceは今回のMWC 2022において、独自の標準規格をベースとしたO-RAN実装に関するデモを22件披露している。さらに、オンラインで視聴可能なバーチャル展示場でも、24件のデモを実施した。これらのデモでは、O-RAN装置が現在、コンセプト段階から実装/導入段階へと着実に移行しているという点が強く示唆されている。

 4G(第4世代移動通信)および4G LTE世代では、RANは無線ユニット(RU)とベースバンドユニット(BBU)を1つの専用ユニットとして組み合わせ、密接に結合されたシステムとして機能していた。O-RAN Allianceは、5G向けに掲げる目標(オープン性、インテリジェント、バーチャル化、完全な相互運用性)を達成すべく、O-RAN規格で分離システムを定義することにより、RUをBBUと区別して、BBUをDU(分散型ユニット)とCU(集中型ユニット)に分けている。O-RAN AllianceのDUは、リアルタイム/スケジューリング機能に対応し、CUは非リアルタイム機能に対応する。このため、CUは通常、プロセッサベースの設計で実装可能だが、DUはCPUでは実現できない性能を必要とする。

5G E2EのO-RANシステム

 O-RAN Allianceが今回MWC 2022で披露したデモの1つに、Wistron NeWeb Corporation(WNC)の正常動作が可能なO-RAN実装について説明した、5G E2E(End-to-End)のO-RANシステムがある。このシステムは、サブ6GHz帯で4Kビデオのストリーミングを実行し、945Mビット/秒(bps)でクライアントPCに5G接続を提供する。WNCのE2E O-RANデモには、WNCが社内開発した、CPE(顧客構内設備)やO-RU(オープン無線ユニット)、O-DU(オープン分散型ユニット)、O-CU(オープン集中型ユニット)設計などが含まれている。これらはリアルタイムユニットであるため、WNCはプログラマブルロジックを用いたO-RUおよびO-DUの設計を行った。中でもO-DUは、Intelが最近発表したばかりの「Intel N6000 Acceleration Development Platform」(開発コード名:Arrow Creek)をベースとしている。

 このデモの中で、WNCのO-CUおよびO-DUは、IntelのCPU「Xeon D(開発コード名:Ice Lake D)」をベースとしたCOTS(商用オフザシェルフ)サーバに接続されている。O-CUおよびO-DU装置はいずれも、5G O-RANの「SMO(Service Management and Orchestration)」アーキテクチャによって定義された、設定や性能、障害管理サービス用のO-RAN AllianceのO1インタフェースをサポートしている。SMO規格は、5Gオペレーターネットワークの自動化に必要とされる、自動制御やオーケストレーションを提供する。WNCによると、このシステムは既に、台湾の大手電気通信事業者のプライベート5Gネットワークで導入されている他、通信キャリア向けに実用化の準備も整っているという。

 WNCのE2E 5Gのデモに関しては、O-RAN Allianceのバーチャル展示場で4分間ほどの短いビデオを視聴することができる。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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