自動運転L2+/L3を普及車にも、ルネサスの「R-Car V4H」:トップレベルの電力性能比を実現
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2022年3月8日、普及価格帯の車両にも自動運転レベル2+/レベル3を搭載可能にする車載SoC(System on Chip)「R-Car V4H」を発売した。ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムのメインプロセッシング用SoCで、最適なIP(Intellectual Property)の組み合わせによって、業界トップレベルの電力性能比を実現したという。同日からサンプル出荷を開始し、2024年第2四半期に量産開始予定だ。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2022年3月8日、普及価格帯の車両にも自動運転レベル2+/レベル3を搭載可能にする車載SoC(System on Chip)「R-Car V4H」を発売した。ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムのメインプロセッシング用SoCで、最適なIP(Intellectual Property)の組み合わせによって、業界トップレベルの電力性能比を実現したという。同日からサンプル出荷を開始し、2024年第2四半期に量産開始予定だ。
1チップでコスト競争力あるADAS用ECUが開発可能
R-Car V4Hは1.8GHz動作のArm「Cortex-A76」コア4個(合計4万9000DMIPS)や、1.4GHzのロックステップ構成の「Cortex-R52」コア3個(合計9000DMIPS)を搭載している。自動車向け機能安全規格ISO20202のASIL Dに対応可能なSoC開発プロセスを適用予定で、信号処理部は「ASIL B」、リアルタイム処理部は「ASIL D」を達成見込みといい、外付けマイコンも不要になる。
R-Car V4Hは、ディープラーニングやコンピュータビジョン向けに各種専用IPを搭載し、演算性能は最大34TOPSを実現している。また、マシンビジョンとヒューマンビジョンの並列処理を行うイメージシグナルプロセッサ(ISP)や、ひずみ補正の演算を行う画像処理エンジン(IMR)、600MHz動作のGPU「AXM-8-256」なども搭載。同社は、「R-Car V4Hは多くの機能を統合しており、1チップでコスト競争力のあるADAS用ECUが開発できる。ドライバモニタリングや緊急自動ブレーキなど『EuroNCAP 2025』のフル機能にも対応でき、3Dサラウンドビューや自動駐車機能も実現できる」と説明している。
同社は、プリレギュレーター「RAA271041」および最大11チャンネルを出力するPMIC「RAA271005」を中心とした、R-Car V4H専用の電源ソリューションも提供する。これによって、車載の12V電源からR-Car V4Hや周辺メモリに信頼性の高い電源を供給することが可能となる。同社は、「ASIL Dへの対応を支援しながら、設計の複雑さを軽減し、市場投入までの時間とコストを削減する」としている。
また、同社は、R-Car V4H用ソフトウェア開発キット(SDK)も提供予定だ。このSDKは、機械学習の開発および、性能や電力効率、機能安全などのシステムの最適化を図るための機能を備える。シミュレーションモデルが利用可能で、OSに依存しないソフトウェアプラットフォームのため、ソフトウェア定義車両の開発に有用だとしている。
デバイスの初期評価やディープラーニングアプリケーション開発に向けては、フィックスターズと共に提供するクラウド評価環境「GENESIS for R-Car」がR-Car V4Hに対応する予定という。
同社車載デジタルマーケティング統括部の統括部長、吉田直樹氏は、「すでに量産車に搭載されているR-Car V3H、R-Car V3Mに続き、今回R-Car V4Hを発売し、ラインアップを拡充できた。スケーラブルなR-Carのポートフォリオを拡大していくことで、ミッドレンジからエントリーレベルまで、あらゆる車種に最先端のADASが搭載されることを期待している」と述べている。
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