昭和電工、6インチSiCウエハーの量産を開始:SiCエピウエハーの安定供給へ
昭和電工は、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体に向けた6インチ(150mm)SiC単結晶基板(SiCウエハー)の量産を始めた。引き続きパートナー各社よりSiCウエハーの調達も行いながら、安定供給に向けて自社生産にも乗り出す。
パートナー各社からも引き続きSiCウエハーを調達
昭和電工は2022年3月、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体に向けた6インチ(150mm)SiC単結晶基板(SiCウエハー)の量産を始めた。引き続きパートナー各社よりSiCウエハーの調達も行いながら、安定供給に向けて自社生産にも乗り出す。
SiCパワー半導体は、高温特性や高耐圧特性、大電流特性などに優れており、電動車や鉄道、産業機器などの用途で需要が拡大している。昭和電工は、世界最大のSiCエピタキシャルウエハー(SiCエピウエハー)外販メーカーであり、国内外のデバイスメーカーに供給している。
こうした中で同社は、品質の向上や安定供給体制の確立に向けて、SiCエピウエハーの材料となるSiCウエハーについても自社生産を検討してきた。次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構のメンバーとして、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託事業である「低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト」(2010〜2015年)に参画。2018年には新日鐵住金グループ(現日本製鉄グループ)よりSiCウエハーの関連資産を譲り受け、量産技術の開発などを行ってきたという。
既に、複数の顧客が昭和電工製6インチSiCエピウエハーの採用を始めたこともあり、6インチSiCウエハーの量産を始めた。パートナー各社からも引き続きSiCウエハーを調達することで、材料調達先の多様化と、SiCエピウエハーの安定供給体制を構築していく方針である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 昭和電工、半導体材料の最適配合探索時間を短縮
昭和電工は、量子コンピューティング技術を活用し、半導体材料の最適な配合探索に要する時間を、数十秒に短縮できることを実証した。探索時間の大幅短縮に加え、探索で得られた半導体材料は、性能が約30%も高くなることが分かった。 - 電気自動車への移行を後押しするSiC技術
Wolfspeed(旧Cree)は2021年10月、同社の社名変更と同時に、大規模なデザインウィンを獲得したことを発表した。同社は、電気自動車(EV)向けSiC(炭化ケイ素)半導体の開発および生産に関して、GM(General Motors)とサプライチェーン契約を結んだ。2021年8月には、STMicroelectronics(ST)との複数年契約を拡大し、150mmのベアおよびエピタキシャルSiCウエハーの供給に関する8億米ドルの契約を結んでいる。 - 昭和電工、ロームとSiCエピウエハーの長期供給契約
昭和電工は2021年9月13日、ロームとパワー半導体向けSiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウエハーに関する複数年にわたる長期供給契約を締結したと発表した。 - 昭和電工、異種材料の接合技術「WelQuick」を開発
昭和電工は、樹脂と金属など異種材料を接合する技術「WelQuick」を開発し、サンプル出荷を始めた。接着成分をフィルム形状にしており、簡便で強固な接合を可能にした。 - 昭和電工とSeagate、HAMR対応HDメディアの共同開発契約を締結
昭和電工とSeagateは2021年6月10日、HDDの次世代記録技術である熱アシスト磁気記録(HAMR)に対応した次世代ハードディスクメディア(HDメディア)を共同で開発する契約を締結したと発表した。 - Infineonと昭和電工、SiC材料の供給で契約
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2021年5月6日(ドイツ時間)、昭和電工と、エピタキシーを含む広範囲なSiC材料の供給契約を締結したと発表した。これによりInfineonは、SiC製品の需要拡大に対応するための基材を確保できたと述べている。契約期間は2年間で、延長のオプションがある。