車載対応の第4世代PCIeスイッチ、Microchip:ADASアプリケーション向けに(2/2 ページ)
Microchip Technology(以下、Microchip)は、ADAS(先進運転支援システム)アプリケーションに使用されるCPUとアクセラレーターのビルディングブロックを接続するために必要な低遅延と高帯域幅を提供する、車載対応PCI Express(PCIe)スイッチを発表した。
拡張を容易にする3種類のスイッチ
Switchtecファミリーは、ファンアウトスイッチとプログラマブルスイッチ、ファブリックスイッチの3つがある。重要なのは、これらは全てパッケージサイズが同じであるため、拡張が容易であることだ。Microchipによると、同製品ファミリーの趣旨は、個別の部品番号を参照し、適切な機能のみを有効にするファームウェアを顧客に提供することだという。同じファミリー内のある部品番号から別の部品番号に切り替えるだけで、ハードウェアを変更することなく、デザインのアップグレードやダウングレードができるため、柔軟性にも優れている。更新する必要があるのはファームウェアだけである。
図2は、アプリケーションの一例である。これはPCIeスイッチの最も簡単な使い方で、デバイスを相互接続するために最初に使用される方法である(ファンアウト機能)。同製品はAPIが提供されているため、顧客はPCIeスイッチの動作を変更することができる。このようにして、顧客は独自の機能を追加することもできる。
図2の例では、PCIeスイッチに接続された1つのSSDの他に、SoCやCPU、GPUを介して特定の機能を実装する4つのデバイスがある。これら4つは全て、同じSSDを共有している。これは、この種の製品でのみ可能となる機能である。SSDを一種のブラックボックスとして使用することができるため、自動運転においては非常に興味深い機能である。図2に示すブロック図は、集約型コンピューティングプラットフォームを使用することでシステムの複雑さとコストの両方を低減する、集約型車載ネットワークの典型的な例である。
運転者が注意を払っていない自律走行車が故障や、事故を起こしたとする。ブラックボックスの役割を果たすSSDは、全ての関連データを保存し、捜査当局がSSDからデータを取り出して、問題が発生する前の状況を判断できるようにしなければならない。そのためには、SSDが4つのホストから読み書き可能である必要がある。それこそが、PCIeファブリックスイッチの役割だ。また、任意のSR-IOV(Single Root I/O Virtualization)エンドポイントを利用し、複数のホストが同じSSDを共有できるようにすることも可能だ。SSDは1つしかないが、事実上、各ホストがそのスライスを利用することができるようになる。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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