検索
連載

低電力ワイヤレスセンサーのアンテナ設計(後編)福田昭のデバイス通信(361) imecが語るワイヤレス電力伝送技術(15)(2/2 ページ)

前編に続き、「レクテナ」の要素部品であるアンテナを解説する。後編となる今回は、小型アンテナの代表的な事例と、特性の計算手法を紹介していく。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

矩形ループアンテナの放射抵抗はループ長に大きく依存

 「矩形ループアンテナ(Square Loop Antenna)」は、文字通り四角いループの形をしたアンテナである。アンテナの入力インピーダンスは放射抵抗(Rrad)と損失抵抗(Rloss)、ループインダクタンス(Lloop)で決まる。


矩形ループアンテナ(Square Loop Antenna)の各部寸法と入力インピーダンスの計算式[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)

 放射抵抗(Rrad)は、四角の辺長(L)の4乗に比例し、波長(λ)の4乗に反比例する。損失抵抗(Rloss)は、辺長(L)の2倍に比例し、アンテナ導体幅(W)に反比例する。ループインダクタンス(Lloop)は、辺長(L)が伸びると増加し、アンテナ導体幅(W)を広げると低下する。

 放射効率を高めるためには、放射抵抗を高くし、損失抵抗を低くする。アンテナを小型化すること(辺長Lを短くすること)は放射抵抗を低くするので、効率を下げることが分かる。

比誘電率と周波数がパッチアンテナの寸法を左右

 「差し込み給電方式の矩形マイクロストリップパッチアンテナ(Inset-Fed Rectangular Microstrip Patch Antenna)」は、誘電体基板の表面に導体膜の矩形パターン(パッチ)を形成したアンテナである。矩形パターンの一辺には細長く伸びた給電用パターン(マイクロストリップ)を形成する。

 アンテナの特性インピーダンスZ0が与えられると、基板の高さhと給電用パターンの幅Wの比率W/hが決まる。基板の比誘電率εrが高くなると、W/hが小さくなる。


差し込み給電方式矩形マイクロストリップパッチアンテナ(Inset-Fed Rectangular Microstrip Patch Antenna)の各部寸法と特性の計算式[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)

 基板の比誘電率εrが高くなると、矩形パターン(パッチ)の幅Wpと長さLpが短くなる。アンテナを小型化できる。また送受信する電磁波の周波数foを高くすることも、アンテナの小型化に寄与する。


差し込み給電方式矩形マイクロストリップパッチアンテナ(Inset-Fed Rectangular Microstrip Patch Antenna)の各部寸法と特性の計算式(続き)[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)

(次回に続く)

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る