2kV耐圧のSiC MOSFETとダイオードを発表、Infineon:PCIM2022(2/2 ページ)
Infineon Technologiesは2022年5月10日(ドイツ時間)、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」において2kV耐圧のSiC MOSFETおよびダイオードを発表した。需要が高まる1500VDCのアプリケーション向けで、「出力密度向上とシステムコスト低減を実現し、次世代の太陽光発電、電気自動車(EV)チャージャー、エネルギー貯蔵システムの基盤を提供する」としている。
広い電圧推奨領域を実現
さらに、新製品は、同社が2022年4月に発表した「CoolSiC MOSFET 1200 V M1H」の技術に基づいており、M1H同様、幅広い周波数範囲でゲート-ソース間の最大電圧を−10Vまで下げられるようにしている。
今回発表した2kV SiC MOSFETは、M1H技術とともに導入した大容量の「Easy 3B」モジュールを2022年第3四半期、ハーフブリッジ構成の62mmモジュールを2022年第4四半期に提供予定。MOSFETおよびダイオードのディスクリート品ははんだ付け技術「.XT接合」を採用したTO247-PLUSパッケージで2022年末までに提供予定としている。また、同社は、今回の製品をサポートするため、最大2.3kVに対応するゲートドライバーICも提供していく。
同社のVice President Silicon CarbideであるPeter Friedrichs氏は、「同技術開発の最初の原動力は、太陽光発電の変換技術だった」と説明。「2kV技術の導入により、kW/kg(容量/太陽光発電システムのパワーコンディショナーの重量)の比率を大幅に向上させることが可能になる。これは特にストリングインバーターのソリューションにとって重要で、非常に大きな電力のシステムを数人で設置できるようになれば、これは重要な『ゲームチェンジャー』となる」と述べた。このほか、エネルギー貯蔵システムやEVチャージャー、ソリッドステートトランスフォーマーなどでの導入も見込んでいる。
関連記事
- EV急速充電器など向けの1200V耐圧SiC MOSFET、Infineon
Infineon Technologiesは2022年4月13日(ドイツ時間)、高い信頼性を損なうことなくスイッチング動作条件を拡張するなどした新しい1200V耐圧SiC(炭化ケイ素)MOSFET「CoolSiC MOSFET 1200 V M1H」シリーズを発表した。電気自動車(EV)急速充電器や太陽光発電システムなど幅広い産業用アプリケーションでの採用を狙う。同月20日、同社日本法人インフィニオン テクノロジーズ ジャパンが同製品についての説明を行った。 - 量子コンピュータ時代を見据えたTPMを発売
インフィニオン テクノロジーズは、量子コンピュータによる暗号技術への脅威を回避するためのセキュリティソリューション「OPTIGA TPM(Trusted Platform Module)SLB 9672」を開発し、出荷を始めた。 - 豊富なアクセラレーターを備えた最新車載マイコン
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン(以下、インフィニオン)は2022年1月18日、独自コア「TriCore」を搭載した車載マイコン「AURIX」の新ファミリーとなる「AURIX TC4x」を発表した。 - インフィニオン、60GHz電波センサーモジュール実演
インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、「ET&IoT 2021」で、60GHzスマート電波センサーモジュール「NJR4652」シリーズや、PSoC MCUを用いてエッジAIを実現するための「ModusToolbox Machine Learning」ソリューションなどを紹介した。 - パワーモジュール、車載インバーター向けに最適化
インフィニオン テクノロジーズは、最大50kWのインバーター設計が可能なハーフブリッジパワーモジュール製品「EasyPACK 2B EDT2」(FF300R08W2P2_B11A)を発表した。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)のインバーター向けに性能を最適化した。 - 60GHzレーダーを搭載した10×13mmの小型モジュール
インフィニオン テクノロジーズ(以下、インフィニオン)と新日本無線は2021年9月22日、オンライン記者説明会を開催し、60GHzレーダーを搭載したセンサーモジュール「NJR4652シリーズ」を発表した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.