パワー半導体市場、2030年に5兆3587億円規模へ:富士経済が世界市場を調査
富士経済は、パワー半導体の世界市場を調査した。電動車や再生可能エネルギーの普及などによって、需要拡大が期待されるパワー半導体市場は、2022年見込みの2兆3386億円に対し、2030年は5兆3587億円規模に拡大すると予測した。
次世代パワー半導体市場は、2030年に1兆円を突破
富士経済は2022年5月、パワー半導体の世界市場を調査し、その結果を発表した。電動車や再生可能エネルギーの普及などによって、需要拡大が期待されるパワー半導体市場は、2022年見込みの2兆3386億円に対し、2030年は5兆3587億円規模に拡大すると予測した。
今回の調査は、「シリコンパワー半導体」と、SiCやGaN、酸化ガリウム、ダイヤモンドをベースとした「次世代パワー半導体」を対象とした。また、パワー半導体向けの「構成部材」20品目と「製造装置」19品目についても調べた。調査期間は2021年12月〜2022年2月。
パワー半導体市場は、5G関連などの情報通信機器分野や、中国、欧州における自動車・電装分野の需要増加などもあり、2021年は2020年に比べ20.7%も増加した。2022年も拡大基調は続くが、部材の供給不足といった課題もあり、11.8%増の2兆3386億円を見込む。
今後も電気自動車や再生可能エネルギー製品の普及が期待されているため、2030年には5兆3587億円になると予測した。特に、中国市場は需要地としても拡大しており、中国系パワー半導体メーカーの台頭が注目される。
パワー半導体の中でも、大きな伸びを見込むのが次世代パワー半導体である。2022年見込みの1249億円に対し、2030年には1兆円を超える規模となる。
注目する次世代パワー半導体市場として、「SiCパワー半導体」「GaNパワー半導体」「酸化ガリウムパワー半導体」を挙げた。SiC-SBD、SiC-FET、SiCパワーモジュールなどを対象としたSiCパワー半導体市場は、サーバ電源や太陽光発電装置、電動車や充電インフラ向けなどで需要が拡大する。これによって、2030年は9694億円規模になると予測した。
GaNパワー半導体市場は、ACアダプターやサーバ電源、ロボット、電動車などの用途で需要が拡大し、2030年の市場規模は305億円と予測した。酸化ガリウムパワー半導体は、2022年より量産が始まった。民生機器分野に加え、情報通信機器や産業機器での採用に期待する。自動車・電装分野向けの製品開発も進んでいる。次世代パワー半導体の中でも、高耐圧で低損失、低コスト化が可能だという。このため、2030年には470億円の市場規模を予測した。
この他、構成部材は、絶縁放熱基板や封止材料などが市場をけん引する。今後はシンタリング接合材や窒化ケイ素回路基板などの伸びが期待できるという。この結果、2022年見込みの2753億円に対し、2030年の市場規模は4994億円と予測した。
製造装置は、SiCウエハーの8インチ化などにより、2022年も需要は拡大する見通し。ただし、半導体不足などの影響で納期の長期化が懸念されている。市場規模は2022年見込みの2085億円に対し、2030年は3736億円と予測されている。
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