Arm Neoverse搭載のプロセッサ、製品化進む:電力消費と性能のバランスを最適化
Armは、メディアラウンドテーブルを開催し、インフラストラクチャ市場の動向やデータセンター専用プロセッサIP「Neoverse」の最新ロードマップ、「5G Solutions Lab」などの状況について説明した。
100社余りが「5G Solutions Lab」を活用、楽天も積極的に
Armは2022年7月8日、メディアラウンドテーブルを開催し、インフラストラクチャ市場の動向やデータセンター専用プロセッサIP「Neoverse」の最新ロードマップ、「5G Solutions Lab」などの状況について説明した。
Armインフラストラクチャ事業部門のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるChris Bergey氏はまず、インフラストラクチャ市場を4つの領域に分け、それぞれの動向について説明した。その領域とは「クラウド&データセンター」「ワイヤレス&5G(第5世代移動通信)」「ネットワーキング&エッジ」および、「HPC」である。
この中で、クラウド&データセンター分野では、2025年までに75%以上のサーバをクラウドプロバイダーが運用することになるだろうと述べた。また、5G分野ではコストの削減や柔軟性の向上などから、仮想化RAN(vRAN)の需要が高まる見通しを明らかにした。ネットワーキング&エッジ分野では、ソフトウェアデファインドネットワーク(SDN)が大きな潮流になり、これによってコロナ禍を乗り切れたと分析する。
HPC分野では、理化学研究所と富士通が共同開発したスーパコンピュータ「富岳」について触れた。新型コロナ対策や治療薬の研究に富岳が活用されるなど、新たな業種や業態においてHPCを活用する動きが拡大していることを紹介した。また、欧州や韓国、インドなどでも同様に、HPCの開発に政府が関与する動きが広がっていると語り、Armはこれらの開発プロジェクトにも協力していることを明らかにした。
「Neoverse」は、クラウドやエッジ、5Gネットワークなどの用途に向けたプロセッサコア。演算性能やエネルギー効率、電力当たりのパフォーマンスなど、パワーとパフォーマンスのバランスを最適化しているのが大きな特長である。
Neoverseとしては、最高のパフォーマンスを実現した「Vシリーズ」、バランスの取れたCPU設計を可能にする「Nシリーズ」そして、電力消費を最小限に抑えた「Eシリーズ」を用意している。
既に、N1やN2、V1などのプラットフォームを用いて、主要メーカーがさまざまな製品を開発している。例えば、Intel製のIPU(Infrastructure Processing Unit)「Mount Evans」やAWS製のCPU「AWS Graviton 2/3」、Ampere製のサーバ用プロセッサ「Altra&Altra Max」、Marvell Technology製のDPU(Data Processing Unit)「OCTEON 10」などである。これらのプロセッサは、この1年間で5G関連装置やクラウド周辺など、多くの機器/システムに採用されたという。
Chris Bergey氏は、Tech Mahindraとの協業により運用している「Arm 5G Solutions Lab」についても紹介した。同ラボは、5Gネットワークの早期実現を目指し、2021年10月に立ち上げた。既に本格稼働しており、通信事業者や通信装置メーカーなど100社余りが利用している。5Gは多様化が進んでおり、さまざまなスタックの検証が行われている。日本企業の利用状況については、「現時点で公開できる情報はない」としながらも、楽天が積極的に取り組もうとしているという。
この他、Armは5G関連のエコシステムについても強化を図っている。
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