低迷するメモリ需要は、半導体市場減速の兆候を示す:DRAM価格は10%低下へ(2/2 ページ)
アナリストたちの予測によると、現在、メモリ需要が伸び悩んでいるのは、これまで盛況にあった半導体業界が減速に向かっているという兆候を示すのではないかという。
2022年第3四半期のDRAM価格は10%低下に
警鐘を鳴らしているのは、IC Insightsだけではない。台湾の調査会社TrendForceも、2022年第3四半期のDRAM価格が10%ほど下がるとの見方を示している。
TrendForceは2022年7月4日(台湾時間)付のレポートの中で、「一部のDRAMメーカーは、2022年後半の繁忙期の需要が不透明であるという問題に直面していることから、特に需要が比較的安定しているサーバ市場において、在庫圧力を緩和するために実質的な値下げを行うという意思を明示している。このため、2022年第3四半期のDRAM価格は、前四半期比で約10%下がる見込みだ」と述べている。
TrendForceによると、サーバ向けDRAMの在庫は現在約7〜8週間で、調達メーカーの間では、「在庫圧力が高まっているため、DRAM価格は引き続き下がっていく」との見方で一致しているという。最先端の製造プロセスが進化を遂げ、民生機器の需要が低迷し続ける中、サーバ向けDRAMが唯一の効果的な販路になってきている。また、四半期価格の下落傾向が最初に見られたのは、韓国メーカー各社だったという。
スマホ/PC市場の低迷
成長を遂げるサーバ市場とは別に、スマートフォン/PC市場では数カ月前から低迷の兆候がみられるようになった。
米国の市場調査会社IDCによると、2022年第2四半期における世界PC出荷台数は、前年比15.3%減となる7130万台だったという。これにより、2四半期連続で出荷台数が減少したことになる。それ以前は、2年間連続で成長を遂げていた。
IDCによると、このように出荷台数が予想以上に減少した背景には、中国のロックダウン政策によって供給や物流の悪化が進んだことや、マクロ経済に逆風が吹き続けていることなどがあるという。
IDCの予測によると、2022年のスマホ出荷数量は、前年比3.5%減となる13億1000万台の見込みだという。これまで3四半期連続で減少している上、供給と需要の両方の問題が増大していることから、IDCは前回、2022年の出荷数量を1.6%増と予測していたが、今回それを下方修正している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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