EV市場は2035年に5651万台、全体の半数以上に:富士経済が世界市場を調査
富士経済は、HV、PHV、EVの世界市場を調査し、その結果を発表した。中でもEVの市場規模は2035年に5651万台と予測、新車販売台数全体の半数以上を占める見通しとなった。
HV、PHV、EV合計の世界市場は2035年に7970万台規模へ
富士経済は2022年8月、HV(ハイブリッド自動車)、PHV(プラグインハイブリッド自動車)、EV(電気自動車)の世界市場(乗用車・新車販売台数)を調査し、その結果を発表した。中でもEVの市場規模は2035年に5651万台と予測、新車販売台数全体の半数以上を占める見通しとなった。
今回の市場調査はHVやPHV、EVに加え、FCV(燃料電池自動車)、48VマイルドHV、内燃車および、これらの関連部品(駆動用モーター・ジェネレーター、インバーター、パワー半導体、駆動用バッテリーなど)16品目を対象に行った。このうち、HV、PHV、EVの世界市場について、2021年実績と2035年予測を公表した。調査期間は2022年2〜6月。
HV、PHV、EVの世界市場は、2021年に合計で1044万台となった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行などから関連する部品や半導体不足が生じたものの、新車販売台数は増加した。全新車販売台数のうち、HV、PHV、EVの比率が13.9%を占めた。前年に比べて5.0ポイントの上昇となる。
2030年にはEVの比率が内燃車を上回り、2035年にはEVが新車販売台数の57.1%を占め、乗用車の主役になる見通しである。HV、PHV、EV合計の世界市場は2035年に7970万台規模と予測した。
2021年のHV市場は387万台となった。日系自動車メーカー製が8割強を占めた。2035年は1536万台と予測した。現時点では需要の中心は日本や北米市場だが、他の地域でも2026年までは内燃車からの買い替えが進む見通しである。ただ、それ以降は生産がEVに移行するとみている。
2021年のPHV市場は188万台で、欧州や中国の自動車メーカーが約8割を占めている。2030年までは市場も拡大するが、それ以降はEVに移行しPHV市場は減少する見通し。2035年の市場規模は783万台と予測した。
EV市場は、カーボンニュートラルの実現に向けて市場が拡大する。800V充電車の登場や異業種からのEV参入なども需要を後押しする。2021年のEV新車販売台数は469万台となった。このうち中国が268万台で、欧州の2倍以上の台数である。
さらに中国では安価なエントリーモデルの増加や、800V系超急速充電への対応、1000kmを超える航続距離を可能にするEVの登場などが期待されている。日本では、HVから段階的にEVへの切り替えが進む見通しで、2035年には154万台を見込む。全世界では2035年に5651万台と予測した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- パワー半導体市場、2030年に5兆3587億円規模へ
富士経済は、パワー半導体の世界市場を調査した。電動車や再生可能エネルギーの普及などによって、需要拡大が期待されるパワー半導体市場は、2022年見込みの2兆3386億円に対し、2030年は5兆3587億円規模に拡大すると予測した。 - LIBの世界市場、2025年には12兆3315億円規模へ
リチウムイオン二次電池(LIB)の世界市場規模は、xEV用の需要拡大などから、2021年見込みの10兆5126億円に対し、2025年は12兆3315億円規模に拡大する。富士経済が予測した。 - ESS/定置用二次電池、2035年に3兆4460億円規模へ
富士経済は、ESS(電力貯蔵システム)と定置用蓄電システムに向けた二次電池の世界市場を調査し、その結果を発表した。2021年見込みの1兆4428億円に対し、2035年には3兆4460億円規模になると予測した。 - パワー半導体、2030年に4兆471億円規模へ
パワー半導体市場は2020年の2兆8043億円に対し、2030年は4兆471億円規模に達する見通し――。富士経済が、SiC(炭化ケイ素)などの次世代パワー半導体とSi(シリコン)パワー半導体の世界市場を調査した。 - ディスプレイデバイス市場、2021年をピークに減少
近年のディスプレイデバイス世界市場は、2021年にピークを迎え、それ以降は減少傾向が続く見通しである。富士キメラ総研が、ディスプレイデバイスと関連部材の世界市場を調査した。 - 半導体デバイス12品目、2026年に50兆5296億円へ
富士キメラ総研は、半導体デバイス12品目の世界市場を調査た。2021年見込みの約35兆円に対し、2026年には50兆5296億円規模になると予測した。5G(第5世代移動通信)などネットワーク関連への投資継続や、自動車向け半導体の需要拡大を見込む。