「中国に対抗する」CHIPS法成立で、激化する米中半導体戦争:電子機器設計/組み込み開発メルマガ 編集後記
米国のジョー・バイデン大統領が半導体の国内製造を促進する法律「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)が成立しました。同法は、米中の半導体製造にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。
この記事は、2022年8月15日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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「中国に対抗する」CHIPS法成立で、激化する米中半導体戦争
2022年8月9日(米国時間)、米国のジョー・バイデン大統領が半導体の国内製造を促進する法律「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)に署名し、同法が成立しました。
米国では、これまで既にIntelやTSMC、Samsung Electronicsなどが新工場建設の大型投資を発表していましたが、今月に入ってからMicron Technologyによる400億米ドルの投資計画や、GlobalFoundries(GF)とQualcomm TechnologiesのパートナーシップによるGFの製造工場への42億米ドルの拡張投資、SkyWater Technologyの18億米ドルの新工場設置、と立て続けにCHIPS法を前提とした投資計画が発表され、早速その「成果」が出ています。ただ、台湾の市場調査会社TrendForceは、同法の成立および米国の対中国規制の強化が地政学的リスクを上昇させる、と指摘しています。
CHIPS法は、米国の半導体製造や研究開発への527億米ドルの資金投入などが盛り込まれたもの。527億米ドルの内訳は、米国内への半導体工場誘致の補助金として390億米ドル(うち20億米ドルは自動車や防衛システムで使用されるレガシーチップ向け)、研究開発と人材開発に132億米ドル、国際的な情報通信技術セキュリティと半導体サプライチェーン活動に5億米ドルとなっています。
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