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ミネベアミツミ、M&Aで「8本槍戦略」を加速コネクター企業2社を買収(2/2 ページ)

ミネベアミツミは2022年8月5日、2023年3月期第1四半期の決算説明会を行った。売上高は前年同期比で1.1%増となる2510億4000万円で、第1四半期としては過去最高となった。営業利益は、前年同期比で27.4%減となる142億5500万円。上海のロックダウンの影響はあったものの、期初予想を上回ったとした。

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8本槍(やり)戦略

 ミネベアミツミは、成長戦略として、8つの分野をコア事業とする「8本槍(やり)戦略」を掲げている。具体的には、ベアリング、モーター、アナログ半導体、アクセス製品、センサー、コネクター/スイッチ、電源、無線/通信/ソフトウェアの8つだ。


ミネベアミツミの「8本槍戦略」[クリックで拡大] 出所:ミネベアミツミ

 ボールベアリングは「非常に堅調」(貝沼氏)としている。「自動車1台当たりのベアリングの個数が増えるにつれシェアも増加しているとみている。車載のみならず、データセンター向けも増加している」(同氏)

 アナログ半導体も好調で、スマートフォンでの減速はあるものの、強い引き合いがあるIGBTや、堅調な車載と医療でその減速をカバーできると説明した。滋賀工場の立ち上げも順調に進んでいて、今期中に電池保護ICとIGBTの生産開始を見込む。「滋賀工場が順調に立ち上がれば、営業利益の30%、つまり1000億円であれば約300億円が見えてくるだろう」(貝沼氏)

 同氏は、「競争環境が変化し、中国勢が追い付いてきているのではないかという声もあるが、そんなことは全くない。むしろ今、社内では今後が楽しみな開発がめじろ押しだ。エイブリックの半導体が加わり、約60人の半導体エンジニアが合流した。これにより、半導体のエンジニアリングパワーがかなり強化された。これまでは、ベアリング、モーターの順で事業規模が大きかったが、今後は“やり”の逆転現象が起き、ベアリングの次にアナログ半導体が来るのではないかと見込んでいる」と続けた。


アナログ半導体事業の概況[クリックで拡大] 出所:ミネベアミツミ

8本槍を加速するM&A

 同社が2029年3月期までの成長戦略として新たに掲げたのが、「社会的課題の解決に向けた製品開発と部品供給」だ。貝沼氏は「少子高齢化や人口問題、医療問題など現代の社会的課題の多くはテクノロジーで解決できるのではないか。そのカギとなる技術は電動化、AI(人工知能)技術を活用した自動化、超高速通信、センシングに集約され、さらに、それぞれで高電圧、高電流、大容量、高精度など、新しいニーズが登場している。そして、これら全てにおいて、われわれの8本槍製品が必要になる」と強調する。

左=「社会的課題の解決に向けた製品開発と部品供給」を新たな戦略に掲げた/右=8本槍製品が、自動運転や遠隔地医療でどのように活用されるかを示した[クリックで拡大] 出所:ミネベアミツミ

 8本槍をさらに太くし、それぞれの技術を相乗効果で成長させていくため、ミネベアミツミは積極的なM&Aを行ってきた。直近では、2022年7月にコネクターを手掛ける本多通信工業と住鉱テックの買収を発表した。両社の卓越したコネクター技術と、ミネベアミツミのグローバルな営業力および製造拠点を掛け合わせる、と貝沼氏は買収の理由を述べる。「ミネベアミツミは海外拠点を大きく展開している。カンボジアやタイなど、スペースに余裕がある工場を活用していくことを考えている」(貝沼氏)


買収が承認された場合の3社統合のイメージ。本多通信工業(HTK)と住鉱テックは、ミネベアミツミのグローバルな製造/販売ネットワークを活用できるようになる[クリックで拡大] 出所:ミネベアミツミ

 貝沼氏は「これから超高速通信時代を迎えると、さまざまな形状や信号に対応する特殊なコネクターが大量に必要になる。コネクターでもグローバルニッチトップ(ニッチ分野の世界市場のトップ企業)を目指すことで、ベアリングやアナログ半導体の事業と同様の成功事例を作っていく」と語った。

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