ST、車載用オルタネーターレギュレーターIC発表:車載用12Vシステムの安定性向上
STマイクロエレクトロニクスは、車載用オルタネーターレギュレーターIC「L9918」を発表した。VDAのLINオルタネーターレギュレーター規格や、機能安全規格「ISO26262」の「ASIL-B」に準拠しており、車載用12Vシステムの安定性を高める機能を強化した。
VDA規格やISO26262規格のASIL-Bに準拠
STマイクロエレクトロニクスは2022年10月、車載用オルタネーターレギュレーターIC「L9918」を発表した。VDA(ドイツ自動車工業会)のLINオルタネーターレギュレーター規格や、機能安全規格「ISO26262」で定義されたリスク分類「ASIL-B」に準拠しており、車載用12Vシステムの安定性を高める機能を強化した。
L9918は、最大13Aの電流をコイルに供給できる低オン抵抗の励磁用「MOSFET」と、励磁電流オフ時のロータ電流を処理する「フリーホイールダイオード」などを集積している。励磁電流や励磁オフ時のリターン電流に対するLRC(負荷応答制御)クローズドループ動作によって、要求される電力が連続的に変化した場合でも迅速に応答し、安定した電圧を供給することができるという。
内蔵した不揮発性メモリには、出力電圧値やオルタネーターの各種特性をユーザー側でプログラムできる。また、最大9極に対応できるため、幅広い充電用途に対応できるという。通信インタフェースとしては、LINをサポートしている。LIN経由でECUと容易に接続でき、目標電圧の設定や診断情報の読み取りなどを行うことができる。
出力電圧監視機能も搭載した。これにより、位相制御信号に連動してセルフスタートし、仮にLIN接続が途絶えても、単独でオルタネーターの電圧設定値を維持できるという。この他、過電流制限や過電流保護、過熱保護、システムの温度変化に応じて自動的に目標電圧を調整できる熱補償機能などを搭載している。
L9918は、ベアダイあるいはTO220-5パッケージで供給する。1000個購入時の単価は約6.12米ドルである。
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