Rochesterが東芝D&Sと契約締結、日本での事業を加速:EOL品の需要が増加する中
Rochester Electronics(ロチェスター エレクトロニクス)は2023年1月24日、東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)とパートナーシップ契約を締結したと発表した。同社が日本の半導体メーカーと契約を締結するのは、これで4社目となる。
Rochester Electronics(ロチェスター エレクトロニクス)は2023年1月24日、東芝デバイス&ストレージとパートナーシップ契約を締結したと発表した。東芝デバイス&ストレージは、ディスクリートやシステムLSIなどの半導体と、ストレージ(HDD)の2つの事業を展開しているが、今回のパートナーシップ契約ではRochesterが取り扱うのは半導体のみとなる。
Rochesterは、さまざまな半導体メーカーの現行品および製造中止品(EOL[End of Life]品)を供給する他、オリジナルメーカーの認定を受けて製造技術を移管し、EOL品の再生産を行うソリューションも提供している。
Rochesterが国内半導体メーカーとパートナーシップ契約を締結するのは、ルネサス エレクトロニクス、日清紡マイクロデバイス、京都セミコンダクターに続き4社目。Rochesterでサプライヤー ディベロップメント ディレクターを務める海野雅史氏は、サプライチェーンの強化を図る東芝デバイス&ストレージのニーズと、サプライヤーおよび製品の拡充と多様化を図るRochesterのニーズが合致したことで今回の契約に至ったと語る。
「半導体では、製造する期間と、顧客のニーズがある期間にアンマッチが生じることが多い。後者の方が一般的に長いので、EOL後の製品をどのようにサポートしていくかは、東芝デバイス&ストレージにとって継続的な課題になっていた」(海野氏)。なお、東芝デバイス&ストレージの半導体のうち、どの製品をRochesterが取り扱うのか、もしくは生産を移管するのかについては現在協議中だという。
Rochester 日本営業本部 代表を務める藤川博之氏は、「東芝デバイス&ストレージの製品を取り扱えるようになったことは、日本オフィスにとってのみならず、Rochester全社にとって大きなステップだ」と強調する。「Rochesterは約40年の歴史を持つ企業だが、日本に進出したのは約10年前で、日本での歴史は本社の4分の1ほどだ。そのため、日本メーカーの製品の取り扱いも、日本企業とのパートナーシップもまだ十分ではない。その意味で、開拓しきれていないと認識している」(藤川氏)
日本では製造中止品の市場がこれから盛り上がる
一方で、「半導体市場はある程度成熟しているが、特に日本では、これから製造中止品の市場が盛り上がってくる」(藤川氏)と見ている。
「顧客各社は、ウィズコロナ、アフターコロナの戦略として、投資対効果を高める方向に舵を切っている。コロナ禍における半導体不足により、今までは製品の確保に注力せざるを得なかったが、今後は、注力するシステムと、メンテナンスを継続/強化するシステムをより明確に切り分けて投資対効果を高めようとしている傾向が見られる。そして、メンテナンスを継続/強化するシステムの分野で、製造中止品の需要が増加している。その他、半導体業界ではM&Aなどによる製品ラインアップ調整も続いているので、ここでも製造中止品が増える傾向にある。こうした背景から、製造中止品の需要が増している」(藤川氏)
藤川氏によれば、それに伴いRochesterへの要望も多様化しているという。とはいえ、「やはり最も強い要望は、製品の拡張あるいは、新しいパートナーシップを広げてほしいというものだ」(同氏)
これらの要望に応えるために、Rochesterはグローバルで投資を加速している。特にこの2年は人員の増員、新規オフィスの開設の他、既存オフィス/倉庫の拡張に力を入れてきた。日本では2021年6月に大阪オフィスを開設し、営業やマーケティング担当を大幅に増強している。グローバルでも、米国やポーランド、メキシコ、ドイツなどにオフィスを新設/増設した。
藤川氏は、Rochesterの日本でのビジネスについて、「売上高は非公開だが、製品の販売数や、ウェビナーなどでのリード獲得数はかなり好調」と述べた。一方で、「当社の認知度については国内外で大きな開きがある(海外での認知度の方が高い)」(藤川氏)とする。海野氏は「半導体の正規販売代理店でもあり製造メーカーでもあるという当社のユニークな立ち位置を理解していただきつつ、当社とパートナーシップを締結することで、(長期供給体制の構築など)従来は難しかったことが少しでも実現できるようになるといったメリットを打ち出していきたい」と語った。
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