Rochester、日系半導体メーカー製品の取り扱い拡大へ:日系3社目となる京セミと契約締結
Rochester Electronics(ロチェスター エレクトロニクス)は、国内半導体メーカー製品の取り扱い拡充に向けた取り組みを強化している。2022年3月には、京都セミコンダクター(以下、京セミ)とパートナーシップ契約を締結。京セミの現行製品および、生産中止品(EOL[End Of Life]品)をRochesterが販売することになった。
半導体供給不足で現行品需要が拡大し、過去最高売上高を更新
Rochester Electronics(ロチェスター エレクトロニクス)は、国内半導体メーカー製品の取り扱い拡充に向けた取り組みを強化している。2022年3月には、京都セミコンダクター(以下、京セミ)とパートナーシップ契約を締結。京セミの現行製品および、生産中止品(EOL[End Of Life]品)をRochesterが販売することになった。
Rochesterがパートナーシップ締結した国内半導体メーカーは、ルネサス エレクトロニクス、日清紡マイクロデバイスに続き、京セミが3社目。Rochester日本オフィス代表の藤川博之氏は「欧米に比べ、日本の半導体メーカーとのパートナーシップ構築は遅れてきた。だが、昨今の半導体サプライチェーンの混乱もあり、サプライチェーンやEOL品の出口戦略を見直す動きが加速し、(日系半導体メーカーが)当社に関心を持ってもらえるようになった。日本市場でのサプライヤー(=半導体メーカー)との関係強化に向けた人員増強などを行い、さらに取り扱いメーカーを増やしていく」とする。
Rochesterは、半導体メーカーの認定の下で、EOL品の継続販売や、EOL品の再生産販売を実施する販売代理店兼半導体メーカー。既に欧米を中心に半導体メーカー70社以上とパートナーシップを締結、認定を受けて150億個以上の在庫と20万種以上の製品群を扱っている。昨今では、EOL品だけでなく、現行製品の在庫を持ち販売する「ストッキングディストリビューター」としての役割も拡大しているという。
売上高などは業績数値は非公開だが、「2021年の売り上げは過去最高を更新した。日本市場に限っても、過去最高の売上高となった」(藤川氏)とする。藤川氏は「半導体不足が表面化して以降、現行品販売ビジネスの売り上げが大きく伸びた。その後、EOL品への需要も拡大し、バランス良く売り上げが伸びた」と振り返る。加えて「2022年1〜3月も、引き続き需要は旺盛であり、2022年は2021年をさらに上回る売り上げを目指せる状況になっている」という。
長引く半導体の供給不足の状況下で、現行品販売、EOL品販売ともに好調が続くと同時に、「半導体メーカーがコロナ後を見据えて、それぞれのサプライチェーンや事業継続計画(BCP)を見直す動きが加速し、半導体メーカーからの問い合わせも増えている」という。
サプライヤーからの引き合い増を受けて、同社日本オフィスでも、サプライヤーとの関係構築、強化を担当する人員の増強などの投資を実施。「半導体メーカーはサプライチェーンやBCPの見直しにおいて、何らかの新しい対応を検討しており、当社としては1つでも多くそうした新しい対応をサポートしていきたい」とする。
長期安定供給が求められる市場に幅広く、深く
そうした中で2022年3月、通信向け光半導体や光センサーデバイスを展開する京セミとパートナーシップを締結し、京セミの現行品、EOL品の取り扱いを開始することが決まった。「どの製品をどの程度扱うかは現在、両社で協議中だが、京セミ製品が加わることで、Rochesterとしての光半導体製品ラインアップが大幅に強化されることになった。日本国内に限らず、グローバルに販売していく」とする。
Rochester日本オフィスでは今後、ルネサス、日清紡マイクロ、そして京セミに続く、日系半導体メーカーとの新たなパートナーシップ構築を目指すことになるが、やみくもにパートナーシップを結んでいくわけではない。同社日本オフィス サプライヤーディベロップメントディレクターの海野雅史氏は「ターゲットにしている市場は、産業機器市場や通信機器、医療機器など長期安定供給が求められる市場であり、そうした市場で多くの顧客を持つ。顧客ニーズが強い製品を持つサプライヤーとのパートナーシップ構築を優先させていく」とする。
藤川氏は「現時点でも複数の日系半導体メーカーとパートナーシップ締結に向けた協議を進めている。Rochesterとしては、産業機器などの市場向けた半導体を幅広く、そして深く取りそろえる必要があり、京セミの光半導体が加わったものの、まだまだ足りない。また、顧客がRochesterに取り扱いを期待している製品の多くは10〜20年前に開発された製品。そうした面でも日系半導体メーカーとのパートナーシップを結ぶことは重要だと考えている。今後も投資を続け、日系半導体メーカーとのパートナーシップ締結、関係強化に取り組んでいく」としている。
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