菱洋エレクトロがリョーサンの筆頭株主に:157億円で18.71%の株式取得
菱洋エレクトロは2023年2月7日、同業であるリョーサンの発行済み株式の18.71%を157億円で取得し、筆頭株主になると発表した。
菱洋エレクトロは2023年2月7日、同業であるリョーサンの株式の一部を取得し、筆頭株主になると発表した。菱洋エレクトロは、「友好的な関係の下、事業上のシナジーの追求に加え、引き続き幅広いアライアンスの在り方について検討/協議を加速させていく」としている。
変化激しい事業環境、シナジー効果を期待
発表によると、菱洋エレクトロは2023年2月7日、英国の投資会社シルチェスター・インターナショナル・インベスターズと、リョーサンの発行済み株式の18.71%にあたる438万4700株を157億8400万円で取得する株式譲渡契約を締結、同月9日にも株式譲渡を実行する予定としている。
菱洋エレクトロは、デジタル家電向けなどが強い「半導体・デバイス」や「ICT・ソリューション」を事業領域として展開。直近の2022年1月期(2021年2月〜2022年1月)業績は、売上高が1120億9900万円、営業利益が22億5800万円だった。リョーサンは自動車向けに強みを持ち、直近2022年3月期(2021年4月〜2022年3月)の業績は売上高が2726億4700億円、営業利益が88億5700億円となっている。
株式取得の背景について、菱洋エレクトロは、IoT(モノのインターネット)化やDX(デジタルトランスフォーメーション)加速によって、エレクトロニクス商社に求められる機能/役割に変化が生じていること、電子部品/IT機器メーカーの合従連衡などに伴う商社間の競争激化やコロナ禍の影響、半導体不足、地政学リスクなどの外的要因が業績などに及ぼす影響が大きく、「低い収益性の利益構造であるにもかかわらず、外部環境の変化に左右されやすい状況にある」ことを強調。同社は、環境変化に強い事業基盤形成に向けた取り組みを進め、「独自の付加価値の形成につながる要素技術の獲得や機能補完を目的とした投資/M&A、強固な経営基盤の確立やさらなる成長機会の獲得を視野に入れたアライアンスについても検討してきた」と説明している。
こうした状況の中、菱洋エレクトロとリョーサンは以前から事業上のシナジー追求に向けて協議していたといい、菱洋エレクトロは、「リョーサンとより強固な連携を築くことで、両社それぞれの持続的な企業価値の向上だけでなく、顧客や市場全体が抱える課題/困りごとの解決に貢献する新たなエレクトロニクス商社像を実現できるものと考え、株式取得の決議に至った」と述べている。
なお、株式取得による業績への影響については、菱洋エレクトロは、「2023年1月期の連結業績に与える影響はない。2024年1月期の連結業績に与える影響については、今後の両社を取り巻く事業環境の動向などを含め現在精査中だが、中長期的には当社の企業価値向上に資するものと考えている」とコメント。リョーサンも、2023年3月期の連結業績などに与える影響は軽微に止まる見通しで、「中長期的には当社の企業価値の向上に資するものと考えている」としている。
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