onsemi、GFの300mm工場買収完了で成長を加速:最先端のCMOS生産能力を獲得(2/2 ページ)
onsemiは、GlobalFoundriesが保有していた米国ニューヨーク州の300mmウエハー工場および製造施設の買収を完了した。onsemiは、同工場によってパワー、アナログ、センシング技術の成長加速と差別化を図っていく方針だ。
EFK工場の課題
El-Khoury氏によると、課題の一つになっているのが、さまざまな要件や仕様に応じた共有ツールを使用して、これらの多彩な技術ポートフォリオを実行する能力だという。ディスクリート生産プロセス/ツール向けの仕様や要件は、イメージセンサー製品向けのものとは異なるため、注意深く管理しなければならない。
同氏は、「もう一つの課題としては、このEFK工場が唯一の300mm工場であるため、新しい技術を導入するための完璧なコピーが存在しないという点がある。その代わりに、より小さなウエハーの工場からプロセスを開発し300mmに拡大する必要がある」と付け加えた。
「また、技術者やエンジニアの堅牢なエコシステムが既に存在している他の地域と比べると、地理的に高度な技能を持つ人材を採用することは難しい。これが、onsemiが高校やコミュニティーカレッジなどの現地の教育施設を支援している理由の1つだ」(El-Khoury氏)
El-Khoury氏は、「今後のコミュニティープログラムでは、教育エコシステムを構築する他、高校から博士課程まで未来のイノベーターたちをサポートし、コミュニティーカレッジとの提携によって現地の技能労働者を育成する取り組みなどを予定している」と説明した。
「onsemiは、十分なサービスを受けていないコミュニティーや高校とも連携し、STEM(科学・技術・工学・数学)に焦点を当てた教育を支援していく。最近では、強力な人材育成の一環として、ロチェスター工科大学に今後10年間で50万米ドルを寄付し、半導体業界のエンジニアを対象としたプロジェクトや教育をサポートしていくことを約束した。また教育施設以外でも、共同体意識を高めることに注力し、自分たちが働いて暮らしていく地域コミュニティーに還元してきたという深い歴史を持っている」(El-Khoury氏)
サステナビリティに注力
エネルギー価格の変動や、環境影響に対する認識の高まりを受け、環境に優しいエレクトロニクス製造の新時代が到来している。エレクトロニクス業界は、世界の温室効果ガス排出量全体の4%を占めていることから、こうした問題に対応するための革新的な研究開発の必要性に迫られている。最近では、有望な新技術が続々と登場するなど、業界の長期的な展望としては良い前兆が見られる。
El-Khoury氏によると、半導体製造は、リソース集約型および炭素排出集約型のプロセスだという。これは、ウエハーエッチングやチャンバー洗浄の際に使用される地球温暖化係数の高いプロセスガスによる直接排出(Scope1)と、購入電力や蒸気、装置の加熱・冷却に伴う間接排出(Scope2)に起因する。
電子デバイス/半導体メーカーを中心とした企業は、深刻な気候変動に対応するため、環境/社会/ガバナンスへの取り組みを進めている。世界中で無秩序に化石燃料を燃やした結果、地表の温度が上昇し、生態系全体が乱れている。自然界の動植物への被害や、氷冠の溶解、異常気象や気温の上昇などは、その影響の一例だ。半導体/エレクトロニクス産業の持続可能性は、政府の規制とグリーン投資イニシアチブの両方によって強化されている。
El-Khoury氏は、「業界として、やるべきことがあることは分かっている。継続的な協力と革新によって、業界全体で有意義な温室効果ガス/資源の削減を推進できると信じている。2022年11月、onsemiは60以上の創設メンバーとともに、「半導体気候関連コンソーシアム(SCC)」を設立した。われわれは、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に焦点を当てた半導体エコシステム企業の、最初のグローバルコラボレーションとしてのコミットメントを示した」と語った。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- onsemi、SiCファミリ「EliteSiC」を発表
onsemiは2023年1月3日(米国時間)、SiC(炭化ケイ素)を用いたパワーデバイス製品群の名称を「EliteSiC」とすると発表した。 - 「会津は戦略的拠点」として積極的に投資、onsemi CEO
onsemiの社長兼CEOを務めるHassane El-Khoury氏が、2022年11月に日本のメディア向けにオンライン記者会見を開催した。El-Khoury氏はこの1年を振り返り、「過去5四半期にわたり、過去最高の業績を達成した」と報告。併せて、売り上げを伸ばすだけでなく、生産体制の再構築を進めるなど組織基盤のスリム化にも取り組んだと述べた。 - onsemi新潟工場の売却が完了、日系ファウンドリー始動
onsemiは2022年12月2日、新潟工場(新潟県小千谷市)のJSファンダリへの売却を完了した、と発表した。JSファンダリは日本初の独立系ファウンドリーとして、アナログ/パワー半導体の前処理、裏面処理、EPI積層、チップサイズパッケージなどの加工/製造を行っていく。 - 「半導体気候関連コンソーシアム」に65社が参画
SEMIは2022年11月1日(米国時間)、半導体バリューチェーンにおける気候変動対策を進めるため「半導体気候関連コンソーシアム(SCC)」を設立、設立メンバーとして65社が参画した。半導体エコシステムからの温室効果ガス排出削減を加速するのが狙い。 - 「日本は重要な市場」、パワーとセンサーで事業拡大へ
米onsemiの日本法人であるオンセミの代表取締役社長に2022年3月、林孝浩氏が就任した。半導体メーカーの中でも幅広い製品群を手掛け、業績も好調に推移するonsemiの日本法人社長として、何を目指していくのか。林氏に聞いた。 - ファブライト化を強調、300mm工場への移行を急ぐ
onsemi(オンセミ)の社長兼CEOであるHassane El-Khoury(ハッサーン・エルコーリー)氏は2021年9月、日本のメディアとの合同インタビューをオンラインで行った。