ST、リチウム電池向けの充電制御ICを発表:性能向上と長寿命化を可能に
STマイクロエレクトロニクスは、リチウム電池の性能向上と長寿命化を可能にする充電制御IC「L9961」を発表した。コードレス電動工具やバックアップ用蓄電システム、無停電電源装置などの用途に向ける。
セル電圧を±15mVの精度で測定、電池電流を0.25%以内の精度で検出
STマイクロエレクトロニクスは2023年4月、リチウム電池の性能向上と長寿命化を可能にする充電制御IC「L9961」を発表した。コードレス電動工具やバックアップ用蓄電システム、無停電電源装置などの用途に向ける。
L9961は、25Vまでのリチウムイオン/リチウムポリマー電池パックに適した製品で、電池の監視やバランス調整・保護を行う。電池パックのセーフティリレーを制御するデュアルプリドライバーは、ハイサイド接続とローサイド接続の設定が可能である。また、設定データを保存するための不揮発性メモリを内蔵しており、システム起動時にPC側から再設定する必要はない。さらに、I2Cインタフェースを介して、電池の充電状態(SOC)や劣化状態(SOH)を確認することができるという。
L9961は、内蔵したA-Dコンバーターと電流検出アンプにより、±15mVの精度でセル電圧を測定し、0.25%以内の精度で電池の電流を検出できる。これにより、高い精度でパッシブセルバランシングとクーロンカウントが可能となり、「過電圧/低電圧検知」や「バランス電圧低下保護」「過電流検知」「放電中の短絡保護」などに対応することで、安全性を向上させた。外部にサーミスターを接続すれば、電池パックの温度を検知し、必要に応じてパックヒューズの制御を行うことも可能となる。
L9961自体の電力消費も抑えた。消費電流はディープスリープモードで最小2μA、スタンバイモードで最小5μAを実現している。パッケージは外形寸法が5×5×1mmの32端子VFQFPNで供給する。1000個購入時の単価は約1.19米ドルである。
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