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三菱電機、SBD内蔵SiC-MOSFETモジュールを開発:インバーターの電力変換効率を向上
三菱電機は、SBD内蔵のMOSFETを採用した耐圧3.3kVの「SiC-MOSFETモジュール」を開発、サンプル出荷を始めた。鉄道車両や直流送電に用いられる電力変換機器などの用途に向ける。
従来Siパワーモジュール比で、スイッチング損失を91%低減
三菱電機は2023年5月、SBD(ショットキーバリアダイオード)内蔵のMOSFETを採用した耐圧3.3kVの「SiC-MOSFETモジュール」を開発、サンプル出荷を始めた。鉄道車両や直流送電に用いられる電力変換機器などの用途に向ける。
SBD内蔵SiC-MOSFETモジュール「FMF800DC-66BEW」は、定格電圧が3.3kV、定格電流が800A、絶縁耐電圧が6.0kVrmsである。SBDを内蔵したSiC-MOSFETの採用とパッケージ構造の最適化によって、スイッチング損失を大幅に抑えた。スイッチング損失は、従来の同社製SiCパワーモジュールに比べて66%低減、同じくSiパワーモジュールに比べ91%の低減となる。これによりインバーターの高出力、高効率化を可能にした。
端子配列も最適化した。並列接続が容易で、さまざまなインバーター構成や容量に対応することができる。また、DC端子とAC端子を対極に配置したパッケージ構造で、回路設計を簡素化できるという。パッケージの外形寸法は100×140×40mmである。価格は個別見積もりとなる。
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