ソシオネクスト、2023年度1Qは増収増益:7nm以細の量産本格化(2/2 ページ)
ソシオネクストの2023年度第1四半期(2023年4〜6月)業績は売上高が前年同期比53.9%増の614億円、営業利益は同80.7%増の101億円、純利益は同57.2%増の80億円で増収増益となった。
NRE売り上げの約7割が先端ノード、5nm品の増加
下図は、分野、地域、プロセスノード別の売り上げの内訳だ。2023年度第1四半期の売上高を分野別でみると、前述の通り2019年以降に獲得した大型商談の量産本格化に伴い、特にデータセンター/ネットワーク分野の割合が拡大していることが分かる。一方で、NRE売り上げでは、引き続き自動車分野の比率が高まっている。米山氏は、「われわれの、顧客と設計の上流から開発を進めていくというモデルは、特に現在、自動車分野において非常にフィットしている。特に自動運転やEV(電気自動車)は現在市場が拡大期にある新しいサービスで、当社のビジネスモデルがうまく当たった。自動車分野は商談獲得も活発で、獲得した商談の開発も順調に進んでいる」と述べている。
地域別では日本以外(米国、中国、その他)が63%と、海外へのシフトが一層明確になっている。NRE売り上げを見ると、特に自動車分野でカスタムSoCのニーズが高い米国が高い割合を占めている。また、プロセスノードでみると、売上高、NRE売り上げのいずれも、5〜7nmの先端プロセスノード製品へのシフトが鮮明になっている。特にNRE売り上げにおいては7割近くが5〜7nmノード製品だ。米山氏によると、特に5nmノードの増加が進んでいて、「増分は5nmになってきている」という。
「想定通り推移」で通期予想に変更なし
同社は2023年度通期予想について、「為替影響以外は当初の想定内だ。第1四半期の製品売り上げは第2四半期からの前倒しもあり、通期としては想定通りを見込んでいる」と説明。2023年4月に公表した、売上高前年比72億円増の2000億円、営業利益同8億円増の225億円、純利益同23億円減の175億円から変更しなかった。
また、中期目標についても、2021年度を基準に年平均成長率10%台後半、営業利益率10%前半から半ばとする、2022年9月時点の計画を維持。「2022年度実績および2023年度の見通しは、この目標向かうトラック上を進んでいると考えている」と述べた。
なお、同社は2023年7月5日、富士通、パナソニックホールディングス、日本政策投資銀行が保有する同社株式を海外市場で売却すると発表している。この関係で同社は現在、米国法上の40日間のクワイエットピリオド期間中(2023年7月14日〜8月22日)であることから、今回、将来予測に関するこれ以上の説明をしなかった。
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