太陽誘電の23年度1Q、回復傾向も黒字転換には至らず:損失は前四半期から35億円の改善
太陽誘電の2024年3月期第1四半期(2023年4〜6月)決算は、売上高が前四半期比0.2%増の726億1200万円、営業損益が5億7700万円の赤字だった。中国系スマートフォン向けの売り上げが好調も、情報インフラ/産業機器向けの在庫調整によるマイナス影響を受けた。
太陽誘電は2023年8月3日、2024年3月期第1四半期(2023年4〜6月)の決算発表を行った。売上高は、情報インフラ/産業機器向けの在庫調整が継続したものの、中国系スマートフォン向けの売り上げが好調だったため、前四半期比0.2%増の726億1200万円。営業損益は5億7700万円の赤字だったものの、操業度効果が寄与し、損失は前四半期に比べ35億円縮小した。
経常利益は11億5900万円。純利益は9億300万円だった。今回の業績について、太陽誘電 経営企画 本部長の福田智光氏は「為替の影響により、売上高で7億円、営業利益で7億円のプラス影響があった。また、固定費の増加額は、想定していた22億円を大きく下回る5億円に抑えることができた。一方で、情報インフラ/産業機器向けでの在庫調整によるマイナス影響も大きかったため、黒字転換には至らなかった」と説明した。
コンデンサーは微減も、インダクターや複合デバイスが好調
製品別にみると、コンデンサーの売上高は、スマホなどの一部の通信機器向けが増加したものの、自動車向けや情報インフラ/産業機器向けが減少したため、前四半期比0.2%減の471億3300万円となった。
インダクターの売上高は、スマホなどの通信機器向けや情報インフラ/産業機器向けが減少した一方で、ワイヤレスイヤフォンやスマートウォッチなどの民生機器向けやノートPCなどの情報機器向けが増加し、同2.1%増の109億7600万円。
複合デバイスの売上高は、各種モジュールが事業の選択と集中の影響で減少したものの、中国系スマホ向けの需要増により同5.1%増の81億8200万円。「その他」では、子会社のエルナーの自動車向けアルミ電解コンデンサーの需要減により同5.6%減の63億2000万円となった。
用途別の売上構成比は、通信機器向けが、中国系スマホ向けの需要増により前四半期比で6ポイント増の29%となった。一方で、情報インフラ/産業機器向けは、在庫調整の影響により同5ポイント減の19%。自動車向けは同2ポイント減の31%だった。
情報インフラ/産業機器分野の在庫調整は、3Q以降の回復予想
今後の市場予測については、福田氏は「北米のスマホ市場は、新モデルへの買い替え需要により2024年3月期第2四半期(2023年7月〜9月)から回復する予想だ。また、2024年3月期第1四半期で伸び悩んだ自動車市場に関しても、第2四半期以降は需要が拡大すると考えている。情報インフラ/産業機器市場で発生している在庫調整は継続し、第3四半期(2023年10〜12月)以降の回復になる予想だ」と説明した。なお、2024年3月期通期の業績予想は据え置き、売上高は3220億円(前期比1%増)、営業利益は150億円(同53%減)とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 村田製作所の23年度1Qは減収減益、スマホ需要減響く
村田製作所の2023年度第1四半期業績は、売上高が前年同期比15.8%減の3677億円、営業利益は同44.8%減の501億円で減収減益となった。スマートフォンやPC向けの需要減が響いた。 - ソシオネクスト、2023年度1Qは増収増益
ソシオネクストの2023年度第1四半期(2023年4〜6月)業績は売上高が前年同期比53.9%増の614億円、営業利益は同80.7%増の101億円、純利益は同57.2%増の80億円で増収増益となった。 - ルネサス、23年度2Q業績は予想比上振れ
ルネサス エレクトロニクスは2023年7月27日、2023年12月期(2023年度)第2四半期(4〜6月)業績(Non GAAPベース)を発表した。売上高は3687億円(前年同期比2.2%減)、営業利益は1291億円(同163億円減)、営業利益率は35.0%(同3.5ポイント減)、当期純利益は1190億円(同376億円増)となった。 - 世代転換戦略が好調、ニデックのE-Axleが初の黒字化
ニデックの2023年度(2024年3月期)第1四半期決算は、売上高が5660億5500万円、営業利益は601億5200万円と増収増益だった。トラクションモーターシステム「E-Axle」の収益改善や前年度に実施した固定費削減が奏功した。 - パワー系IC不足感は継続、24年以降さらに不足か
2023年6月に開催されたOMDIA主催のセミナーイベントで、同社のコンサルティングディレクターである杉山和弘氏が講演を行った。一部半導体不足の継続や、米中対立下での各国企業の動き方について分析した。