GaN搭載のLED街灯で消費電力を37%削減、NTT-AT:街灯1000本で実証実験も実施
NTTアドバンステクノロジは「TECHNO-FRONTIER 2023」で、GaNを使用したFET搭載のUSB充電器やLED電灯向け電源ユニットを展示した。
NTTアドバンステクノロジ(以下、NTT-AT)は「TECHNO-FRONTIER 2023」(2023年7月26〜28日/東京ビッグサイト)で、HEMT構造のGaN(窒化ガリウム)FET(GaN-HEMT)を搭載した製品を展示した。
NTT-ATはGaN半導体エピタキシャルウエハー(エピウエハー)の製造と販売を行っている。低炭素化や省電力化の潮流を踏まえてGaN-HEMT搭載の製品ラインアップを拡充しており、ブースにはLED電灯向けの電源ユニットやUSB充電器を展示した。
データセンターや自治体のコスト削減に活用
LED街路灯向け電源ユニットは、消費電力の削減とCO2の削減に効果があることを確認している。従来のナトリウムランプ街灯からGaN-HEMT搭載電源および照明コントロール施策を施したLED街灯に交換することで、消費電力を最大37%削減できるという。電源部のみをシリコンからGaNに交換する場合では5%程度の消費電力削減効果を見込む。
「ナトリウムランプからLED電灯への交換と併せて電源部もシリコンからGaNに交換すると、消費電力削減の大きな効果が見込める。自治体と連携して行った実証実験では、1000本の街灯にかかる年間コストを約500万円、CO2排出量を約11トン削減できるという結果になった」(NTT-AT担当者)
充電器や電灯向け電源ユニット以外には、データセンターでのサーバの電源など、発熱対策が重要となるケースでの利用を期待しているという。
「100Wの直流電力を交流電力に変換する場合、シリコンでは5Wの損失が発生するところを、GaNでは0.75Wに抑えることができる。発熱も抑制されるため、ヒートシンクなど発熱対策の部材も少なく済み、全体のコスト削減につながる」(NTT-AT担当者)
NTT-ATのGaN-HEMT搭載製品の強みについて、同社の担当者は「エピウエハーから(街灯や充電器のような)各用途の製品まで、顧客の需要に自社で対応できることだ」と説明した。
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