CXL/UCIeから考える光インターコネクト技術:光伝送技術を知る(22) 光伝送技術の新しい潮流と動向(3)(4/4 ページ)
「ChatGPT」などのAI技術に後押しされ、データセンターは拡張の一途をたどるとされている。その際、光技術はどうあるべきなのか。今回は、チップレット間のインターコネクト技術である「CXL」や「UCIe」に着目し、ここから求められるであろう光インターコネクトの姿を探る。
光インタフェースはどうなるのか
光のインタフェースはどうなるのであろうか。ベースとなっているPCIeは電気の仕様であり、PCIe 5.0(32GT/s)ではNRZ(Non-Return-to-Zero)、PCIe 6.0(64GT/s)ではPAM-4とFECを導入した。一方、Intelは学会などでPCIe Transfer RateのCo-Packaged Optics(CPO)のロードマップを発表している。それによれば、32/64/128Gbit/sは全てNRZとなっている[7]。PCIeのワーキンググループで光PCIeの議論が開始されるようなので、光に適した(Optical-Friendly)PCIeが決定されることを期待したい。
また、ことし(2023年)3月に開催された光通信関連の国際会議「OFC 203」では、消費電力を従来比で半減させる100Gbit/s PAM-4 Linear Drive(あるいはAmplified)技術が発表された。これは、コストも大幅に削減できるため、大きなモーメンタムとなっている。イーサネットでは既存の標準化との互換性確保などの課題はあるが、新分野の光インターコネクトでは本方式を取り入れた新インタフェース規格の標準化が、OIF(Optical Internetworking Forum)などで進むとみられている。
筆者としては、送信側の入力データを終端するOIF Co-Packaged Optics Framework[8]にある“Half Retimed”が、互換標準化や製品設計・製造も容易だと考えている。また、PCIeではリファレンスクロックが供給されるのでさらに有利である。
[7]Y. Akulova, S1-1, OECC/PSC
[8]OIF-Co-Packaging-FD-01.0 , Feb. 2022
光インタフェースでは、光と電子デバイスの高速広帯域化を利用したシンプルで「電気配線のように使用できる」仕様[2]を期待する。また、ユーザーからはシリコンフォトニクス+SMF(シングルモードファイバー)が開発の主流になっていることへの疑問も出ていて[2]、さらなる展開も予測される。
表3に、以上の標準化動向から期待される光インターコネクト仕様を示す。
このように、AIをドライブするシステムにおいて、新技術と新標準化が進められている。その中で光インターコネクトへの期待も高まっており、これに応えていかなければならない。そして、大きなビジネスチャンスの到来と捉えて、これに集中して研究開発を活発化すべきである。
筆者プロフィール
高井 厚志(たかい あつし)
30年以上にわたり、さまざまな光伝送デバイス・モジュールの研究開発などに携わる。光通信分野において、研究、設計、開発、製造、マーケティング、事業戦略に従事した他、事業部長やCTO(最高技術責任者)にも就任。多くの経験とスキルを積み重ねてきた。
日立製作所から米Opnext(オプネクスト)に異動。さらに、Opnextと米Oclaro(オクラロ)の買収合併により、Oclaroに移る。Opnext/Oclaro時代はシリコンバレーに駐在し、エキサイティングな毎日を楽しんだ。
さらに、その時々の日米欧中の先端企業と協働および共創で、新製品の開発や新市場の開拓を行ってきた。関連分野のさまざまな学会や標準化にも幅広く貢献。現在はコンサルタントとして活動中である。
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