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スペイン初のチップ工場が誕生か、光半導体企業が計画EU基金からの資金提供を受け(2/2 ページ)

スペインの光半導体メーカーKDPOFが、スペインでは初となる商用チップの製造施設を建設する予定だという。本稿の後半では、半導体やハイテク関連の投資を公表している主な国/地域の投資額をまとめている。

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半導体/ハイテク関連の投資を公表している国と地域

中国:1430億米ドル

 Reuters(ロイター通信)によれば、中国は、半導体業界向けに1430億米ドルの補助金を検討していたという。しかし、Bloombergが2023年1月に報じたところによると、その計画は保留になったようだ。

EU:470億米ドル

 EUは欧州半導体法(European Chips Act)に基づき、470億米ドルの政府投資を行い、160億米ドルの民間投資を誘致する予定だ。IPCEI ME/CTには90億米ドルの国庫補助を行い、150億米ドルの民間投資を誘致する。欧州半導体法とIPCEIは、半導体不足に対応し、欧州の技術リーダーシップを強化することを目指す。欧州半導体法の目標は、世界半導体市場におけるEUのシェアを、現在の10%から、2030年までに20%に倍増させることだ。


欧州委員会(EC)の委員(域内市場担当)であるThierry Breton氏 出所:EU

インド:少なくとも9億2200万米ドル

 「Semicon India」プログラムは、世界エレクトロニクスサプライチェーンにおけるインドのプレゼンスを拡大すべく、半導体やディスプレイ製造、設計エコシステムなどに投資する企業に対し、資金援助を行う。このプログラムは、新規事業部門の設置や、既存事業部門の拡充、近代化、多角化などを対象に、プロジェクトコスト全体の50%を資金援助するという。

日本:約1兆3000億円

 日本は、半導体関連に向け令和4年度(2022年度)補正予算として約1兆3000億円を計上している。

 「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(通称「経済安全保障推進法」)では、AI(人工知能)技術を見据えたクラウド技術開発や、半導体サプライチェーンのサポートなどに資金を割り当てる。同法律に基づく技術開発や設備投資などの計画を認定し、支援する。具体例として、経済産業省は2023年6月、半導体関連企業への助成について、FC-BGA基板などを手掛ける新光電気工業への最大178億円をはじめ、計8件に約550億円の助成を行うと発表した。

 さらに、TSMCが現在建設中の熊本工場では、設備投資額約86億米ドルのうち、日本政府が最大4760億円を助成する予定だ。その他、ラピダスには計3300億円を支援する。

マレーシア:合計金額は不明

 米国議会調査局(U.S. Congressional Research Service)によると、マレーシアは、半導体をはじめ、製造業などの優先分野における外国投資に対し、さまざまな税制優遇措置やその他のインセンティブを提供しているという。政府は、優先分野の企業に対し、法定所得の70%の所得税を5年間にわたり控除する他、承認を受けたハイテク企業に対しては、10年間にわたり全額を控除する。また、再投資や各種インフラに対して手当を支給する他、特定の投資分野に関連給付を提供するという。

シンガポール:190億米ドル

 シンガポールの貿易産業大臣であるLow Yen Ling氏は2023年7月、SSIA(Singapore Semiconductor Industry Association)に対し、「政府は「『Electronics Industry Transformation Map(ITM)』に従い、今後5年間、新たな半導体技術および研究開発の分野に投資を行う」と語った。さらにDigiTimes Asiaによると、シンガポールはTSMCに対し、同社が欧州で進めようとしている12インチウエハー工場建設計画を中止して、シンガポールに建設するよう説得しているという。

韓国:合計金額は不明

 韓国の「Act on Restriction of Special Taxation」は、半導体メーカーをはじめ、自社工場を拡充する企業を対象とした減税措置に焦点を当てている。「K-CHIPS法」の愛称で知られるこの法律は、コングロマリットに15%、中小企業には25%の税額控除を適用するという。この他、2022年7月に「半導体超強大国達成戦略」を発表。2026年までの5年間で340兆ウォンの投資を計画している。

英国:15億米ドル

 「国家半導体戦略(National Semiconductor Strategy)」は、インフラへのアクセスを改善し、より多くの研究開発を強化、国際協力を推進していく。

米国:527億米ドル

 半導体のR&Dや製造、人材育成などに向け「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)を制定。中国に対する技術面での優位性を高めることも狙いの一つだ。コンサルティング会社のMcKinseyによれば、投資総額は2000億米ドルをゆうに超えるという。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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