ミネベアミツミが大幅減益、データセンター需要停滞で:売上高は1Qとして過去最高も(2/2 ページ)
ミネベアミツミは、2024年3月期(2023年度)第1四半期(4〜6月)の決算を発表した。売上高は前年同期比16.5%増の2923億7000万円で、第1四半期としては過去最高となった。営業利益は同57.4%減の60億7900万円だった。通期業績予想は据え置く。
1Qは苦戦も「回復は時間の問題」、事業計画に変化なし
続いて登壇したミネベアミツミ会長兼CEO(最高経営責任者)の貝沼由久氏は、今回の決算について「携帯電話、産業機械、半導体、エアコン、OA機器など幅広い分野でスローダウンが起こっている。ミネベアミツミの事業では付加価値の高いベアリングやHDD向けモーター、ピボットアッセンブリー、ファンモーターなどに影響が出て、営業利益が前四半期よりも低下した。データセンター需要の落ち込みが最大の足踏み要因だ」と分析し、「これは一過性の景気変動だと理解している。間違いなく回復は時間の問題で、中長期の事業計画には全く変化がない」と強調した。
同氏は、各セグメントの今後の見通しについても併せて説明を行った。
売上高が減少したものの営業利益率は前四半期比6.9ポイント増の2.1%となったモーター・ライティング&センシングセグメントについては、車載向けのニッチマーケットで収益性を確保したという。
「LEDバックライトはミツミとの経営統合前、600億円の営業利益を出したとき(2015年3月期)の立役者だったが、有機ELディスプレイの台頭で市場規模が縮小してきた。LEDバックライトの生産を担ってきたタイのバンワ工場をどうするかは経営課題の一つと捉えていたが、ラグジュアリーカー向けに累計1000億円規模の受注があり、車載用で(生産キャパシティーが)埋まるメドが立った。LEDバックライト製造工場を転用するどころか、むしろ今後どこかに工場を増やすかもしれない というところまできた。問題は当面解消した」(貝沼氏)
モーター全般についても好調だとした。2023年から2026年までの3年間で売上高1000億円増を見込んでおり、うち7割程度は車載用だという。HDD向けモーターはデータセンター需要の回復待ちだとし、貝沼氏は「技術的な変化があるというよりも、あくまで景気循環と捉えて注視していく」と述べた。
売上高が前四半期比33.9%減の817億円だったセミコンダクタ&エレクトロニクスセグメントについては、パワー半導体の製造拡大に向けた準備を進めているという。今後、滋賀県野洲市の工場に製造装置が新たに導入される予定だといい、貝沼氏は「野洲の工場は年間15億円ほどの赤字を抱えているが、これからはパワー半導体の本拠地の一つになる予定だ。パワー半導体は世界市場規模も拡大しているため、全く心配していない」と期待を寄せる。なお同工場は2021年にオムロンから譲渡されたもので、現在はミネベアミツミのグループ会社でパワーデバイスの開発と製造を手掛けるMMIセミコンダクターが運営する。
今四半期、収益を押し下げたのはOISアクチュエーターだったという。要因としては競合他社の売価ダウンと稼働コストが重なったと見ており、同氏は「コストダウンを力強く着実に進めていく。2023年後半でリカバーのメドは立っている」とした。
アクセスソリューションズセグメントについては「2024年3月期の営業利益は100億円が見えてきた」(貝沼氏)という。第1四半期は営業利益がマイナスとなったが、ミネベアアクセスソリューションズとの経営統合後のPMI(統合プロセス)が進んでいることから「かなり収益性の改善が進んでおり、回復途上にある。コロナ禍の長いトンネルを抜け出すことができそうだ」とした。
プレシジョンテクノロジーズセグメントについてはデータセンター需要の回復が業績の鍵だとした。「回復時期は依然として不透明だが、データ量の増加で中長期的には間違いなく成長していく。今しばらく静観する」と悲観しない旨を強調した。
上半期および通期の業績予想については、短期的な市場の不透明感や為替動向を考慮し、期初計画を据え置くものの、第2四半期終了時点で変更があれば発表する可能性があるとした。
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