JDI決算は赤字継続、技術開発で再起図る:2025年度の黒字化目指す(2/2 ページ)
ジャパンディスプレイの2023年度第1四半期業績は、売上高が前年同期比7%減の530億円。営業損益が同70億円減で139億円の赤字、純損益が同72億円減で122億円の赤字となった。「eLEAP」などの独自技術開発で黒字化を目指す。
「eLEAP」「HMO」など独自技術で収益基盤の改善図る
今後の見通しについてはJDI会長でCEO(最高経営責任者)のスコット・キャロン氏が説明した。
キャロン氏は赤字の継続について「みっともない数字」とし、「かねてより行ってきた抜本改革を、気合を入れて行わなければならない」と述べた。
一方で、将来の収益に資する上振れ要素として「業績」「技術開発」「顧客開拓と製品スペック・イン」の3点を挙げた。「技術開発」についてはまず、2023年3月末に経営破綻したJOLEDの有機ELディスプレイ技術開発事業の買収に伴い、同社の従業員約100人を雇用したことを説明。「世界トップクラスのエンジニアが加わり、新規技術の開発が加速している」とした。
また、現在JDIでは次世代有機ELディスプレイ技術「eLEAP」やバックプレーン技術「HMO」の開発を進めていることから、キャロン氏は「世界を変え、JDIの収益基盤を変えるものになる」と期待を寄せる。両技術は 2024年度から量産に移る予定だという。
「顧客開拓と製品スペック・イン」については、2023年4月に発表した中国の大手ディスプレイメーカーであるHKC(惠科股份)との戦略提携を例に挙げた。
なお、この提携については当初、2023年6月に最終締結を目指すとしていたが、現在も協議を継続しており、2023年9月の最終締結を目指しているという。
今後の財務目標については、2025年度での黒字化を目指すとしている。HKCとの戦略提携の最終締結後に修正を加え、2023年11月に改めて発表する予定だ。
「JDIの既存製品に十分な競争力があるとは考えていない。他のメーカーが提供できない独自技術を提供して初めて顧客にとっての価値が創出でき、収益基盤になる。パフォーマンスが良いだけでなく、コストパフォーマンスも良い技術を作っていくことがわれわれの生命線だ」(キャロン氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 鳥取工場の液晶パネル生産を25年3月に終了、JDI
ジャパンディスプレイ(JDI)が、鳥取工場での第4世代液晶パネル生産を2025年3月に終了する。生産終了後、同工場は戦略拠点として事業を継続する予定だ。 - JDIの22年度決算は258億の赤字、モバイルからは撤退
ジャパンディスプレイの2022年度通期業績は、ノンモバイルでの民生機器需要の減少や、モバイルなど不採算事業からの撤退の影響もあり、4期連続の減収減益となった。2023年度も赤字を見込んでいる。 - JDIと中国HKC、グローバル戦略パートナーに
ジャパンディスプレイ(JDI)は2023年4月7日付けで、ディスプレイメーカー大手の中国・惠科股份(HKC)と戦略提携覚書(以下、MOU)を交わした。2023年6月にも最終合意の予定。両社はグローバル戦略パートナーとして、次世代OLEDディスプレイ技術の推進と工場建設などに取り組む計画である。 - JDI、SCKへの東浦工場建屋譲渡で最終合意
ジャパンディスプレイ(JDI)は、2023年3月10日開催の取締役会で、東浦工場(愛知県知多郡)の建屋および付帯設備を、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(SCK)に譲渡することを決め、SCKと最終契約を結んだ。2024年4月1日に物件を引き渡す予定。 - JOLEDが民事再生手続き開始、製造/販売から撤退
JOLEDは2023年3月27日、東京地方裁判所に民事再生手続き開始の申し立てを行ったと発表した。同社は、ジャパンディスプレイと、有機ELディスプレイの技術開発事業の再生支援に関する基本合意書を締結した。一方で、製造/販売事業からは撤退するという。