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電気自動車の将来を左右する充電インフラ(後編)福田昭のデバイス通信(414) 2022年度版実装技術ロードマップ(38)

前編に続き、電気自動車(EV)の充電インフラの動向を説明する。後編では充電方式について解説する。

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ご注意
 今回は前編の続きです。まず前編を読まれることを強く推奨します。


充電方式は伝導、ワイヤレス、交換の3種類

 前回から、「2.5.3.4 EV用インフラ(インフラストラクチャー)」の概要、すなわち電気自動車(EV:Electric Vehicle)の道路走行を支える充電インフラ(充電ステーション)の動向を前後編で説明している。今回は後編となる。

 前回(前編)では、充電器には「普通充電器」と「急速充電器」の2種類があること、充電箇所には主に「基礎充電」「経路充電」「目的地充電」の3つがあることを述べた。今回は充電方式についてご説明する。

充電方式の種類と実用化状況
充電方式の種類と実用化状況。国内のEVに普及しているのはコンダクティブ式の普通充電と急速充電になる[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

 充電方式は大きく、コンダクティブ(伝導)式、ワイヤレス(無線)式、交換式の3つに分かれる。コンダクティブ方式の充電には、普通充電と急速充電がある。ワイヤレス式には、車両を停めた状態で無線によって給電する方式(ワイヤレス給電)と、車両を走行させながらワイヤレスで充電する方式(走行中ワイヤレス給電)がある。交換式は「バッテリ交換式乗用車」と「バッテリ交換式トラック」に分かれる。

急速充電器の標準化で日本と中国の産業界が協力

 これらの充電方式の中でEVの普及を左右するのが、経路充電のインフラである「コンダクティブ式の急速充電器」(以降は「急速充電器」と表記)だ。現在は30分前後の充電時間でEVのバッテリを最大容量の80%まで充電する、というイメージで利用される。近い将来には、充電時間を5分くらいに短縮したい。

 急速充電器の規格は現在、主に4つに分かれている。日本の自動車メーカーが主体となって規格を策定した「CHAdeMO(CHArge de MOve)」、中国の「GB(Guojia Biaozhun)/T 27930」規格(以降は「GB/T」と表記)、欧米の「CCS(Combined Charging System)」、電気自動車大手のTeslaによる独自規格「SC(Supercharger)」である。

 2020年末時点での普及状況(世界全体)は、CHAdeMOが3万6000基、GB/Tが30万基、CCSが1万3000基、SCが2万5000基とされる。中国のGB/Tが圧倒的に多いことが分かる。

 将来の急速充電器の標準化に向け、日本の「CHAdeMO(チャデモ)」規格策定団体である「CHAdeMO協議会」は中国の電力業界団体である「中国電力企業聯合会(China Electricity Council)」と共同で次世代急速充電器の充電規格を共同で開発していくと2018年8月22日に発表した。そして2020年4月にはCHAdeMO規格の「バージョン3.0」を日中の共同規格「ChaoJi(チャオジ)」のコネクター仕様に準拠した設計要件として発行した。

 「ChaoJi」はCHAdeMO、GB/T、CCS、SCとの後方互換性を有する規格となる予定だ。最大の特長は、900kW(1500V×600A)という大出力に対応したことで、大型トラックのEV1台を急速充電するほか、複数の普通乗用車タイプEVを同時に急速充電できるようになる。

主な急速充電規格の概要
主な急速充電規格の概要[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

船舶や乗用ドローンなどから自動二輪や電動自転車までをカバー

 急速充電規格「ChaoJi」が想定する用途は幅広い。出力が350kWを超える大容量充電では、船舶や土木建設機器、乗用ドローンなどを狙う。出力が50kW〜150kWの領域では、トラックや乗用車などを対象とする。出力が小さな10kW以下では自動二輪車や電動カートなど、さらに小さな800W以下では電動キックボードや電動自転車なども視野に入れる。

急速充電規格「ChaoJi」が想定する用途
急速充電規格「ChaoJi」が想定する用途[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

⇒(次回に続く)

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