高機能フィルム市場、2025年には21年水準へ回復:日本と韓国、台湾メーカーを調査
矢野経済研究所は、日本と韓国、台湾における高機能フィルム市場を調査し、2025年までの需要(メーカー出荷数量)予測を発表した。2022年に大きく落ち込んだ需要が、2021年レベルまで回復するのは2024〜2025年となる見通し。
2022年の出荷数量は前年比で70〜80%に縮小、生産調整などが影響
矢野経済研究所は2023年8月、日本と韓国、台湾における高機能フィルム市場を調査し、2025年までの需要(メーカー出荷数量)予測を発表した。2022年に大きく落ち込んだ需要が、2021年レベルまで回復するのは2024〜2025年となる見通し。
今回調査した高機能フィルムは、ディスプレイ・光学、電気・電子、一般産業用のベースフィルムおよび加工フィルム。具体的には、PETフィルム、PIフィルム(着色フィルム、透明フィルム)、MLCCリリースフィルム、リサイクルフィルムなどである。調査期間は2023年4〜7月。
日本と韓国、台湾における高機能フィルム市場は、コロナ禍の巣ごもり特需の反動もあって、2022年は大幅に縮小した。2022年5月ごろからスマートフォンやTVメーカーが在庫調整や生産調整など行ったことが大きく影響した。
2021年の出荷数量実績を100%とした場合、2022年は約70〜80%に落ち込んだ。2023年になると、セットメーカーの生産調整なども一段落し、高機能フィルム市場はプラス成長に転じた。しかし、V字回復までは期待できないという。
2024年の主な製品別出荷数量予測では、2021年実績を100%とした場合、PIフィルムは107.2%となるが、それ以外の製品は2021年水準まで回復しない見通しだ。2025年になると、PIフィルムの120.2%を筆頭に、MLCCリリースフィルムや一般産業用PETフィルムも2021年実績レベルを上回ると予測されているが、光学用PETフィルムは水面下のままである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- パワー半導体市場、2030年に約370億ドル規模へ
パワー半導体の世界市場は、2022年見込みの238億9000万米ドルに対し、2030年は369億8000万米ドル規模に達する見通しである。このうち、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体が17.4%を占める。矢野経済研究所が予測した。 - 空飛ぶクルマ市場、2050年に180兆円超へ
矢野経済研究所が空飛ぶクルマ市場の現状と将来展望に関する調査結果を発表した。市場規模は2025年に608億円、2050年に180兆円超に成長するとみている。 - セルロースナノファイバー、2025年に75億円規模へ
矢野経済研究所は、セルロースナノファイバー(CNF)世界市場を調査し、生産量および出荷金額の予測を発表した。 - MEMSデバイス、2025年には約2兆円の市場規模に
矢野経済研究所の調査によれば、ファウンドリーを除いたMEMSデバイスの世界市場規模は、2025年に約2兆円の市場規模となる見通しだ。 - 車載ディスプレイ部材、出荷量はプラス成長続く
矢野経済研究所は、車載ディスプレイ部材の世界市場を調査し、車載タッチパネルやディスプレイカバー(前面板)など主要部材の出荷量について、その成長率を予測した。主要部材の出荷量は今後も続伸が見込まれる中で、曲面や大画面、高精細化に対応した部材のニーズが高まる見通しだ。 - 照明用半導体レーザー、2030年に8755億円規模へ
矢野経済研究所は、照明に用いられる半導体レーザーの世界市場を調査し、その一部を発表した。出荷金額(メーカーの出荷ベース)は、2022年の5897億1000万円に対し、2030年には8755億円規模になると予測した。