「日本に早くから進出できたのは有利」 Keysight CEO:日本進出60年目を迎え(2/2 ページ)
キーサイト・テクノロジーは、2023年8月29〜31日に都内で開催される同社のプライベートイベント「Keysight World 2023」に合わせて記者説明会を開き、戦略や注目トレンドについて語った。
計測でも高まる、AI活用のニーズ
Dhanasekaran氏はKeysightの戦略にも触れ、「エンドマーケットの多様化と顧客ベースの拡大を戦略として掲げ、テクノロジーのトレンドに沿って製品ミックスを進化させながら、ソリューションを提供していく」と語った。
同氏は、Keysightが特に注目しているトレンドとして、「AI(人工知能)とデジタル化によって進む自動化」や、通信技術や半導体技術などの「テクノロジーの急速な進化」、EV(電気自動車)の普及などを含めた「サステナビリティとエネルギー」を挙げる。
「AIとデジタル化によって進む自動化」についてDhanasekaran氏は、Keysightの顧客が、AI技術を活用した分析結果も必要としていると述べた。「顧客は今や、単に“測定できる”だけでは満足していない。テストや計測を自動化することに加え、AIを活用したデータの解析や、そこから導かれる洞察への要求も高まっている。そのため当社は、計測/テストのワークフローやリソース管理などを自動化するソフトウェア『PathWave』に積極的に投資している」(同氏)
「テクノロジーの急速な進化」では、例えばワイヤレス通信では、5Gの普及とともに、さらなる高速、大容量、低遅延を目指し、6Gの研究開発も進んでいる。データセンター向けの光トランシーバーの世界では、800Gビット/秒(bps)をはじめ、1.2Tb/s、1.6Tb/sといった次世代技術の導入が始まり、加速しつつある。半導体では、プロセス技術の微細化が進み、GAA(Gate-All-Around)など新たなトランジスタ構造も登場している。
こうした最先端の技術開発をサポートするために、チエ氏は「計測機器メーカーはさらに先を見据えなくてはならない」と述べる。「最先端の研究開発では、既存の計測器では“測れないもの”が出てくることになる。そうした計測を実現するために、計測機器メーカーは顧客に先んじて最新の計測機器を開発し、準備しておく必要がある」(チエ氏)
「サステナビリティとエネルギー」では、2050年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする)を目指す日本の目標や、国内外のEV(電気自動車)の市場予測も取り上げながら、電力インフラまで含めたEVのエコシステム向けの計測ソリューションを提供できると語った。
Keysightにとって自動車は比較的新しい事業分野である。「自動車分野には2015年くらいから参入した。バッテリーのテスターやエミュレーションなどをそろえていて、現在、自動車関連の売上高は約5億米ドルとなっている」(Dhanasekaran氏)
Dhanasekaran氏は、こうしたトレンドを踏まえ、「計測ツールのプロバイダーからソフトウェアカンパニーを目指すという明確な方針に沿って前進してきた。日本でも、既に築いているパートナーシップを生かして密に連携しながら、技術面での可能性を広げていく」と語った。
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