車載向けBMICの最新製品/技術を展示、ヌヴォトン:開発中の新技術など
ヌヴォトン テクノロジージャパンは、「第15回国際二次電池展」(2023年9月13〜15日/幕張メッセ)に出展し、車載向けバッテリー監視チップセットの次世代品向けに開発中の交流インピーダンス診断技術などを展示した。
ヌヴォトン テクノロジージャパン(以下、NTCJ)は、「第15回国際二次電池展」(2023年9月13〜15日/幕張メッセ)に出展し、車載向けバッテリー監視チップセットの次世代品に向けて開発している「交流インピーダンス診断技術」などを展示した。
交流インピーダンス診断技術は、半導体チップに交流インピーダンス測定機能を集積し、多数の直列リチウムイオン電池セルのインピーダンスを同時に測定できるようにするものだ。電池内部のインピーダンスには温度依存性があるため、測定したインピーダンス値から電池内部の温度変化を推定もできる。会場では、電圧3.9Vの電池セルを8つ使った交流インピーダンスの変化のデモが公開された。現在開発中のテストチップでは最大14セルまで対応可能だという。
開発の背景について担当者は「現在、EV(電気自動車)などに使われている中古のリチウムイオン電池(LiB)は、モジュール単位での返却が一般的である。そのため、返却の原因となった劣化や故障がどのセルで起きているものかの判断が難しい。昨今は、急速充電に対する要求が増えているため、充電時の発熱や発火などのリスクも増加している」とした上で、「仮に、開発中の交流インピーダンス診断技術を使って電池の使用中にリアルタイムで劣化や温度上昇の検知が可能になれば、異常を検知した部位(セル)の修理や交換ができる可能性があり、電池返却後のリユース効率を上げられると考えている」と説明した。
最大25セル対応、バッテリー監視チップセットの構成品
NTCJは、2023年8月29日に発表した同社の第4世代品となる車載向けバッテリー監視チップセットの構成品も展示した。
バッテリーマネジメントIC(BMIC)「KA84950UA/KA84930UA」は、「業界最多水準」(同社)となる最大25個の直列バッテリーセルに対応可能なため、バッテリー監視システム(BMS)の構成の簡素化やバッテリーパックの小型化、軽量化に貢献する。また、パック監視IC「KA84917UA」、通信IC「KA84922UA」とともに使用することでバッテリー監視システムが構成できる。
第4世代 車載向けバッテリー監視チップセットの構成品。左から、BMIC「KA84950UA/KA84930UA」、通信IC「KA84922UA」、パック監視IC「KA84917UA」[クリックで拡大]
BMICとパック監視ICは、誤差10マイクロ秒以下の同期動作に対応しているため、電圧/電流情報を同時に取得することで、電池の充電状態(SOC:State of Charge)や劣化率(SOH:State of Health)の推定が可能だ。
展示ブースでは、正常電池と劣化電池を用いた電池インピーダンス(劣化度)推定のデモも紹介した。デモでは、正常電池の推定インピーダンスが57.99mΩなのに対し、劣化電池では87.78mΩであることが示された。
第4世代チップセットの発表後の反響について担当者は「発表から日が浅いが、顧客からは最大25バッテリーセルに対応できることや、インピーダンス推定ができることに関して前向きな反応をもらっている」とし、「チップセットだけでなく、各IC単体での購入も可能なため、用途に合わせて多くの人に使ってもらいたい」とコメントした。
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