東芝TOBが成立、年内にも上場廃止へ:株主から78.65%の応募
日本産業パートナーズ(JIP)をはじめとする国内連合による東芝のTOB(株式公開買い付け)が成立した。株主総会などの手続きを経て、2023年内にも上場廃止となる見通しだ。
東芝は2023年9月21日、日本産業パートナーズ(JIP)をはじめとする国内連合によるTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。株主による応募比率は78.65%と、成立に必要な66.7%を上回った。株主総会などの手続きを経て、2023年内にも上場廃止となる見通しだ。
2015年に発覚した粉飾決算以来、経営の混乱が続いてきた東芝は、2022年4月、株式の非公開化を含む戦略的選択の公募を実施。2023年3月には、TOB成立によって東芝を非上場化し、経営の安定化を図るとするJIPら国内連合による提案の受け入れを決め、同年6月、株主に応募を「推奨する」ことを発表していた。
JIPら国内連合は2023年8月8日〜9月20日までの期間、1株当たり4620円、総額約2兆円規模のTOBを実施。9月20日にはTOBが成立の見通しになったことを発表していた。なお、今回の買収には、JIPのほか国内20社以上が出資し、三井住友銀行などの国内金融機関が融資している。国内企業としては具体的にはロームが計3000億円を拠出することを発表しているほか、オリックス、日本特殊陶業もそれぞれ2000億円、500億円の拠出を発表している。
今回のTOB成立によって、東芝は2023年内にも、70年以上にわたる上場の歴史に幕を下ろすことになる。
東芝の社長兼CEO(最高経営責任者)、島田太郎氏は、「当社は今後、株式の非公開化に向けた一連の手続を実施していく。当社グループは、新しい株主の下、新たな未来に向かって大きな一歩を踏み出すことになるが、今後も当社グループ経営理念『人と、地球の、明日のために。』のもと、「誠実であり続ける(Do the right thing)」という価値観を大切に、当社の企業価値向上に向けて尽力していく」などとコメントしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東芝の迷走で、あらためて思う「何のため、誰のため」
2015年の経緯を見ると、その迷走ぶりにめまいがします。 - 東芝の23年度1Qは赤字転落、キオクシア不振が影響
東芝の2023年度第1四半期業績は、売上高が前年同期比366億円減の7041億円、営業利益が同162億円増の114億円。純損益は、持分法適用会社であるキオクシアホールディングスの業績悪化などの影響から、同513億円減となり、254億円の赤字に転落した。 - 東芝D&S、システムLSI関連で700人の人員対策に着手
東芝は2020年9月29日、東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S、以下TDSC)においてシステムLSI事業の構造改革を実施すると発表した。TDSCのシステムLSI事業については、車載および既存顧客のサポートを除くロジックLSIから撤退することが既に発表されていた。 - 東芝、東芝メモリの売却完了を発表
東芝は2018年6月1日、米投資会社のBain Capital(ベインキャピタル)を中心とする企業コンソーシアムが設立したPangeaに対する東芝メモリの株式譲渡が完了したと発表した。譲渡価格は約2兆3億円。 - 東芝の早期退職応募数は3449人
東芝は2016年4月15日、2016年3月下旬までの期間での募集していた早期退職優遇制度に3449人の応募があったと発表した。 - 東芝、大分300mmラインをソニーに譲渡
東芝とソニーは2015年10月28日、東芝の半導体前工程製造拠点である大分工場300mmウエハー生産ラインを、ソニーに譲渡することで合意したと発表した。東芝は、CMOSイメージセンサー事業から撤退する。