国内連合の東芝TOBが8日開始、非上場化目指す:買収総額は約2兆円
国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)をはじめとする国内連合が2023年8月8日から、東芝へのTOBを開始する。3分の2以上の応募で成立し、東芝は上場廃止となる見通し。
国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)は2023年8月7日、JIPをはじめとする国内連合が同月8日から東芝へのTOB(株式公開買い付け)を開始すると発表した。1株当たり4620円で買い付けを行い、買収総額は約2兆円。3分の2以上の応募で成立し、東芝は上場廃止となる見通し。
非上場化が「ベストな選択肢」
今回の買収には、JIPのほか国内20社以上が出資し、三井住友銀行などの国内金融機関が融資する。2023年7月にはロームが計3000億円を拠出することを発表しているほか、オリックス、日本特殊陶業もそれぞれ2000億円、500億円の拠出を発表している。
TOBは9月20日までの期間で実施する。成立すれば、最終的に東芝は70年以上の上場の歴史に幕を下ろすことになる。東芝は2023年8月7日、TOBに賛同し、株主に応募を推奨することを決議した。
東芝の社長兼CEO(最高経営責任者)、島田太郎氏は、同日開催した会見で、「当社グループは事業構造を転換し、デジタル化を通じたカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーを実現することを目指しているが、現在の株主構成では中長期的に一貫した戦略を実行し、成長していくことが困難な状況にある」と説明。株式の非公開化が東芝やステークホルダーにとって「ベストな選択肢」という結論に至ったとした。
なお、東芝が4割を出資する持分法適用会社のキオクシアホールディングス(以下、キオクシア)を巡っては、現在Western Digitalとの合併協議が進められていると、複数メディアが報じている。取締役会議長の渡辺章博氏は、「TOB期間中に(キオクシアの合併協議に関して)何らかの動きがあれば、(株主価値に)影響を与え得る」と述べていた。なお、東芝は、キオクシア側と秘密保持契約を締結し、この件に関する協議を実施することも検討したものの、東芝が現時点で入手できる情報なども踏まえ、「現時点でキオクシア取引情報を受領することは本取引の円滑な実施に当たっての重大な障害となりかねない一方で、本取引の条件の公正性/妥当性の検討に当たってのキオクシア取引情報の参照価値は現時点においては低いことから、現時点では協議を開始しないことにした」と述べている。
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